『コードギアス奪還のロゼ』を最終幕まで見届けた。コードギアスだった。
『コードギアス奪還のロゼ』を最終幕まで見終えた。面白かった。
最終盤が少し窮屈な構成で、特にエピローグはもう少し、具体的にはBパート分ぐらいは見たいと思ったけれど、話の筋自体は良かったと思う。
天崎滉平と古川慎と上田麗奈の主役三人の演技は話数を重ねるごとに素晴らしい演技に変わっていったし、最後の最後は上田麗奈と古川慎に泣かされたと言ってもいいほどその演技に感動させられてしまった。
作品としても「とてもコードギアスらしい作品だった」と感じている自分がいるが、さてなぜ私は『奪還のロゼ』を「コードギアスらしい」と感じてしまったのだろう。
色々と考えてみたが、やっぱり「前提が覆される事で一話先の景色ですらどうなっているか分からない面白さ」と「ギアスという超常の力を得た事による業の物語」だったことにあるんじゃないかと思う。
「前提が覆される事で一話先の景色ですらどうなっているか分からない面白さ」は第一作となる『反逆のルルーシュ』からそうだった。
ルルーシュが戦略を立て、自分が望む世界のために突き進んでいくのにスザクがランスロットで乱入して滅茶苦茶にされたりとか、いきなり妹じゃなくて弟が出てきたり、大勢のゼロが出てきたりとまあ色々あったが、一番思い出すのはやはり血染めのユフィ。
自身の目的を全て解体したユーフェミアに冗談のつもりで言ったこと。
それがギアスの暴走と重なって大惨劇を生み出してしまうあの展開は本当に衝撃的だったし、ルルーシュはもちろんスザクにも止まることを許さないあの展開は「この先どうなるのか。最後まで見届けたい」と強く思わせる展開だった。
『奪還のロゼ』は1クール12話と『反逆のルルーシュ』と比較すると1/4ほどのボリュームであるが、そんな「前提が覆される事で一話先の景色ですらどうなっているか分からない面白さ」が出来ていたと思う。
『奪還のロゼ』は一話進むごとに何が起きるのか分からない。
一話ではロゼの正体が、二話ではロゼとアッシュの兄弟関係がギアスによって成立していることが、三話ではアッシュの恋の相手が明かされるが、それらは物語が進むごとにより面白いものへと変化していき、物語に推進力とユーザーを没入させる力を生み出していく。
第三幕(7話~9話)は特に凄くアッシュの過去が明かされたり、ロゼとアッシュが実質的に兄弟であることが分かったりと面白い展開がてんこ盛りなのに、最後の最後で『機動戦士ガンダムF91』のバグのような殺戮兵器「ロキ」が全世界に解き放たれる……というTV放送できるか心配するような展開が仕掛けられており、最終幕を否が応でも期待させる。
そして公開された第四幕も殆ど詰めの段階であるにも関わらず驚きの展開が用意されていて、この点に関しては「1クールでしっかりやり通した」と言いたい。
また「ギアスという超常の力を得た事による業の物語」という点についても『奪還のロゼ』はコードギアスらしさがある作品だったと思う。
「コードギアス」という作品はつまるところ「ギアスとは何か」に答えを出す作品なのだ。
それが「コードギアス」という作品のシリーズテーマのようなものなのだと思う。
ルルーシュにとってそれは呪いのようなものなので、彼はギアスによって生じた呪いを全て引き受ける形で舞台を降りたわけだが、それはルルーシュがそうだからであり、他のギアス所持者達に当てはまるものではない。
ルルーシュにはルルーシュのギアスがあるように、ロゼにはロゼのギアスがある。
それはつまりルルーシュにとって「ギアスは呪い」であるが、ロゼにとっては全く違うものである可能性があるということであり、ロゼにはロゼの幕引きがある。
それが現れたのがロゼが第四幕でかけた2つのギアスなのだろう。
あのギアスがなければあのキャラクターはここまで鮮烈な存在になることもなかった。この結末に「良かった」と言えることもなかったし、主役の演技に涙することはなかったかもしれない。
そうした点を見ても『奪還のロゼ』はコードギアスだった。
コードギアス以外の何物でもない面白さがそこには確かにあったのだ。
機会があったら見て欲しい。ちゃんと「コードギアス」だから。
なおナイトメアフレーム同士の戦いも期待を大きく上回るものだった。
本作では「敵の新型兵器により北海道全域で空を飛ぶほどの出力が得られない」という設定があるので、主な戦いはローラーダッシュが生きる地上戦なのだが、『クロスアンジュ』を手掛けた武右衛門が担当しているのでアクションが本当に素晴らしい。
ナイトメアフレームが活躍するシチュエーションも一つとして同じものがないし、同じ敵と戦うことも殆どないのでナイトメアフレーム同士の戦いだけでお釣りが出るぐらいに面白かった。
あとOPは基本的に一上映につき3回は聞くことになるが、3回聞かされても全然苦にならないほど好き。
最終幕でOPが変わるのが本当に熱い。