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『ラブライブ!スーパースター!!』3rd Season第六話 過去の自分が憧れる自分に。

『ラブライブ!スーパースター!!』3rd Season6話は、前話から引き続いて上海でのLiella!の活躍を描いたエピソードとなる。
大きな目玉としてはOP以外では見せてこなかった「11人でのライブ」。
トマカノーテとLiella!に分かれてしまったので、終盤までお預けになるかと思っていた11人ライブをここで披露するというのは「完成形」を意識させる意味でも効果的だったと思う。
楽曲をラスマス・フェイバーが担当していることや、舞台が上海であることなど国際色を感じさせるCGライブとなっていて、「スクールアイドルの海外展開」を考える意味でも今後の作品を考える意味でも重要になるような気もする。

物語面で言えば、前話で引きに使った「スクールアイドルフェスに参加して、唐可可を助けてほしい」が、単に「姉が妹に自分の夢を追いかけてほしい。だから進学を望む両親を説得するためにLiella!に頑張ってほしい」程度のことで、そんなに深刻な話ではない……というのは、引きと真相の落差で楽しむコメディとして面白かったし、唐可可の進路問題も「歌い続けたい」と「スクールアイドルという夢を叶えるために、日本留学まで認めてくれた両親には感謝している。だから両親を安心させたい」という本心と感謝の話でよかったんじゃないだろうか。
この辺りを「唐可可がスクールアイドルに惚れ込んだのはなぜか」という、唐可可オリジンとも言える内容とともに展開することで、「上海でスクールアイドル文化がどのように受け入れられているのか」を飲み込ませている。
そもそも唐可可がスクールアイドルに憧れなければ日本に行くことはなく、澁谷かのんは挫折したままであり、葉月恋は母親の願いに気づくことはなかった……ということを考えると、この上海はいわば「Liella!の始まりの始まり」みたいな場所。
そんな上海を舞台に「夢の続きか。夢の終わりか」を描いたことは今後の展開を考える意味でも重要だったのでは?
ただ今回良かったのは唐可可よりも平安名すみれと澁谷かのんの二人かな。
平安名すみれは唐可可にとっては喧嘩友達のような間柄で、2nd Seasonを経て「憎まれ口を叩き合える仲」ぐらいになっており、3rd Seasonでも合間に仲の良さを見せていた。
今回の上海行きにもLiella!の面々が「どうする?」という困惑している中で、唯一「ここでの結論がどうであっても行く。唐可可のピンチだから」という姿勢を見せていたのが平安名すみれ。
なので「進学する」ということを一度決めた唐可可の前に登場し、「それでも私は貴方が歌い続ける姿を見たい」と言った時の気持ちよさったら無かった。
これはあくまで平安名すみれの気持ちでしかない。しかし気持ちでしかないからこそ、応援してくれる人の存在が立つし、それが二年間一緒に走り続け、喧嘩もした相手というのが素晴らしい。2クール分の重みも効いていたと思う。
そういう「2クール分の重み」としてはもう一人の澁谷かのんも同じで、「両親を安心させる」という理由で本心に嘘をつき夢を諦めようとしていた唐可可に「好きなことを頑張ることに終わりなんてあるの?」と二年前にかけてもらった言葉を返す。
ここで始まりの言葉と言ってもいいものをぶつけてきて、それがしっかりと効いてくるのはやはり積み重ねた時間だ時間。三期もやると一期を踏まえた展開やセリフがファン心にバシバシ刺さる。
こういう事ができるようになったのも『ラブライブ!スーパースター!!』が育った証拠!
またこういうエピソードの締めに「観客席からステージを見上げるだけだった過去の自分の幻影」を登場させるのはよかったね。あの頃憧れた自分になれたようで、今の自分に誇りを宿す素晴らしい要素だったなと思う。
そして夢は誇りとともに続いていく。
しかし続いていくのはいいけれど、Liella!はどうなるのだろう。
あと7話ぐらいの中で答えを出してほしい。

それと今回面白かったのは京極尚彦監督自ら絵コンテを担当したということで、ここになります。

一枚目から二枚目までを1カットでやった奴ですね。
「壁を挟んで背中合わせ」という構図自体は比較的ある構図だと思うんですけど、一枚目から二枚目までを1カットでやる。
つまりカメラ移動で演出している事で、壁越しで表情は見えないけれど姉の想いは妹(唐可可)に届いている!ということが分かるカットで面白かったです。
京極尚彦監督はこういう「そういうの、ありなんだ?」というカメラアングルやカメラワーク、レイアウトをやる人だと思ってますが、今回もこういうのを見せられると嬉しくなりますね。

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九条水音
プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。