コロコロ変わる名探偵
不可解な事件が起きると、どこからともなくやって来て解決してしまう名探偵。だが、その素顔を見た者はいない。何故かって? 彼(?)はいつも、ピンクのウサギの着ぐるみを着ているからだ。
人呼んで「着ぐるみ探偵」。「中の人」が誰なのか、誰も知らない。
ある時、僕は宿泊先のホテルで殺人事件に巻き込まれてしまった。
警察の聴取を終えて僕が部屋に戻ると、見慣れない大きな箱が置いてある。恐る恐る開けると、中に入っていたのはウサギの着ぐるみだ。え、これってまさか?
「おめでとう、あなたは着ぐるみ探偵に選ばれました」
同封されていたカードを見て、僕は何となく理解した。
着ぐるみ探偵の主体は着ぐるみ。そして、真相に関係ない誰かに着てもらって、事件を解決する。中身がコロコロ変わる名探偵、それが着ぐるみ探偵の正体なのだ。
僕はこの事件におけるモブでしかないんだな。そう思いながら、僕は着ぐるみ姿で事件解決に向かった。
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