神様注意報
この町の秋祭には、昔から一つだけ掟がある。祭の前夜12時から一時間程、神様が町を廻り歩くという。その間、誰もその姿を見てはいけないのだ。見たら祟りがあると言われている。
神様が町を廻る道筋は毎年神主さんが占いで決める。ルートが決定すると、その界隈に住む全ての住人に前もって通達がある。中には、この通達を「神様注意報」と呼んでいる者もいる。
宮田君の友人のS君は、祟りを信じていなかった。彼はこの夜、神様を見ようとしていた。
当日、宮田君達はSNSを通してS君と繋がっていた。神様が通る時刻に外を見たS君は、突然何やらおかしなことを言い出し、そのままSNSから落ちてしまった。見ると、いつの間にかS君のアカウントが削除されている。S君の写真も連絡先も何もなくなっていた。
それっきり、S君は消えてしまった。今ではS君の名前も顔も朧気にしか思い出せないと、宮田君は言う。
S君は、神様に取られたのかも知れない。
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