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【事例も紹介】調査リリースは有効か?気になったのでXでアンケートしてみた
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先日Xで、広報さんと編集者さん向けに調査リリースの手応えについて聞くアンケートを実施しました。結果106名の方に投票いただきました。今回はその結果の詳細と、いただいた実例やご意見についてまとめたいと思います。
広報は手応えあり、編集者はそうでもない
【広報さん】
調査リリースがきっかけで問い合わせが来た 76%
調査リリースはあまり手応えがない 24%
【編集者さん】
調査リリースを見て企業にコンタクトを取った 35%
調査リリースからはあまり企業に問い合わせない 65%
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今回広報さんと編集者さん両方に聞いたので、結果をそれぞれにわけてグラフ化しました。まず広報さんですが、76%の方が「調査リリースをきっかけにしたメディアからの問い合わせがあった」と回答されてました。
ところが編集者さんからの回答としては、「調査リリースをきっかけに問い合わせたことがない」が「調査リリースをきっかけに問い合わせたことがある」を2倍近くも上回る結果となりました。
編集者さんからの回答は母数が少ないため、なんともいいがたいですが、広報さんは調査リリースに手応えを感じていながら、編集者さんはそうでもない、といった反応。広報さんと編集者さんの間に感覚の違いがある可能性がうかがえます。
メディア掲載につながった調査リリース
今回の投稿には、取材や掲載につながった事例や、ご意見などを多くいただきました。ここでは寄せられた事例のご紹介とそれに対する雑感をお伝えします。
CLASさん
いくつかありますが、この記事も調査リリースきっかけで取材いただきました💡
— CLAS広報のこばみ🦄│初代プレスリリースエバンジェリスト (@Kobami_Planning) December 4, 2023
大学進学で一人暮らし、準備費用はいくら? 上京する私大生は70万円超… 家具・家電のサブスクも人気にhttps://t.co/uQ3KRyQ8r7
元の調査リリースhttps://t.co/uXyhmMkeyq… https://t.co/poesuk4swv
▼配信された調査リリース
▼リリースをきっかけに掲載された記事
実際に記事を拝見すると、この記事では記者さんが当事者へのインタビューなど本格的に調査されています。おそらくですが大学生の一人暮らしに関する記事の企画が先にあったタイミングで、今回のリリースが目に止まったのではないか、と推測されます。
余談ですが、同様のケースは雑誌に多く、特集のテーマなど企画を起点に必要な企業にアプローチするという形態です。そのためには瞬間的な閲覧、掲載だけでなく、長期的な視点に立って情報を発信し続けるということも、重要なのかもしれません。
カミナシさん
ちゃんと時流や世の中の関心ごとに沿ったものであれば問い合わせは来るイメージがあります。
— 宮地正惠 | カミナシ 広報PR (@MasaeMiyachi) December 5, 2023
結構時間が経ってからも問い合わせが来ることもあるので侮れない。だから毎回、調査設計にうんうん頭を唸らせて搾り出しています😅 https://t.co/o0R2JS77Bf
記事掲載や取材につながる調査になるためには、調査そのものが「時流や世の中の関心ごとに沿ったもの」に合致すること。調査設計の段階からしっかりと取り組むことが大切という、カミナシ宮地さんのご指摘は重要だと感じます。企業内や業界内の動きと、社会的な動きとが交わるようなトピックスが、メディアにとっての価値につながると思いますので、その両側の視点を持ちながら企画立案にあたることが大切だと思いました。
ClipLineさん
食品衛生法改正のタイミングで業界の実態調査をしたら某新聞社から取材されました。農水省や厚労省が調査しそうでしたがどこからも発表されず、この調査リリースは相当数のアクセスを稼ぎ、一般企業のWebサイトや専門誌などに多数転載されました。多くの方の参考になったのなら嬉しいです。 https://t.co/TYdUPa4l8x
— 井上真由加 | ClipLine広報 (@za_za999) December 5, 2023
▼実際に配信された調査リリース
必要な方に必要な情報を届けることも、広報にとって重要な役割だと思います。そうしたなかClipLine井上さんは食品衛生法改正に伴う飲食業界の実態調査を実施しました。たしかにニッチな内容ではありますが、業界内の課題を浮き彫りにする重要なリリースだったのではないでしょうか。メディアにとっても業界内の現状がわかる価値のある内容だったと思いますし、意義深いものだったと感じました。
「調査リリース=有効施策」とは言い切れない
一方で、調査リリースだからといって取材や問い合わせに至らなかったケースもある、というご指摘も多くいただきました。Xに寄せられたご意見をご紹介します。
取り上げていただけること、すでに繋がりのある方からコメントをいただくことはありますが、調査からの取材や新たな問い合わせにはつながっていないですね。。 https://t.co/LBAGPIeUrP
— しらおか@広報PR / SO Technologies (@shiri_SOT) December 4, 2023
回答まだ受付中です👀
— 冨永 冴季@タフでオタクな金融広報 (@shakechon_pr) December 4, 2023
正確&個人的 には
調査リリースは、「使ってもらえる確率は高いけど、問い合わせレベルでのやり取りは発生しない」って感じです🧐
そのまま記事の一部のパーツとして使われるケースが圧倒的に多いなぁと。… https://t.co/i6WmwHaMgO
そうなんです。
— 冨永 冴季@タフでオタクな金融広報 (@shakechon_pr) December 4, 2023
でも署名記事で掲載になった場合は、その方をSNSで探したり、アドレス推察したり、、して個別にこちらから連絡をとるようにしてます。
「次こんな調査を企画中ですけど」と頭出しして企画のアドバイスが貰えれば次の掲載確率も上がるし、先方も欲しい情報が得られるので!
So Technologiesしらおかさんと冨永さんがご指摘の通り、調査リリースがそのままメディアに転載される、もしくはリリースを元に取材無しで記事制作される、というケースがおそらく多いのではないかと思います。X以外で私に寄せられたご意見もこのケースが一番多かったです。
記事を書く視点に立つと、必要な情報がある程度揃っていれば、それだけで記事になるので、時間もかからず手間が少ないです。とくに媒体専属の記者さんや編集者さんは常にお忙しい印象がありますから、こういった記事は「ありがたい」のかもしれません。
一方で冨永さんにご共有いただいたような、記事掲載をきっかけにメディアにアプローチするというのは、1つ有効な手法かもしれないと思いました。
効果的な調査リリースにする制作上のポイント
以前、調査リリースのポイントを
— 丸花由加里|PR TIMES (@1986ymruhana) December 4, 2023
楯の川酒造の高梨さん(@anna_mof_pr )にお話伺ったのでよかったらご覧ください😊https://t.co/4y1tzJi4mP
PR TIMESが運営するオウンドメディア「PR TIMES MAGAZINE」編集長の丸花さんから、調査リリース制作の裏側について取り上げた記事をご共有いただきました。楯の川酒造高梨さんが実際に取り組んだこと、など詳しく載っていますので、調査リリース制作の参考にされてはいかがでしょうか。
▼PR TIMES MAGAZINEの調査リリースについてのインタビュー
調査リリースは、
— 伊東正樹|社会課題×広報PR (@masa_socialPR) December 5, 2023
ほぼ速報記事にしかなり得ません。
調査リリース経由で取材に繋がる
本質的な理由は、
◆客観/信頼性+権威性(オーソリティ)=業界・分野を総括してるという立場・見せ方
を前提に、
◆取材対象コンテンツ=ヒト・モノ・サービスを有してる
からです。… https://t.co/21bdJtCdgZ
長文でコメントいただいたので一部のみ掲載させていただきましたが、最後にある「調査リリースは、 それなりにヒト・モノ・カネを投下する分、特にリソース不足のスタートアップ&地域企業やNPO関連の広報の方は、事前に吟味してほしい」というコメントは、私個人も共感しました。
その他、調査リリースに関するご指摘をされていますので、実際の投稿もご確認いただけたらと思います。
そもそものこのアンケートについて
今回このアンケートを実施した背景には、ライターでの経験がありました。ある企業から調査リリース制作を依頼され、実際の作業に取り組んだのですが、ライターとして記事を書くときと同じような作業だったのです。
そこで「ちゃんとした調査リリースなら、そのままメディアの記事として使えるのではないか」という仮説のもと、実際のところどうなのかを身近にいる広報さんや編集者さんに、その実感値をお聞きしたかったのです。
ただ一方で、このアンケート自体がそもそもしっかりとした調査ではないので、効果検証としてどの程度有効なのか、という点には疑問が残りました。簡易的ですが、実際にアンケートをしたことで、今後はより実践に役立つ実態調査ができれば、と感じたところです。
「調査リリースだから有効」ではなく入念な準備が重要
元も子もない結論で申し訳ないのですが、アンケート結果といただいたご意見を総合すると、調査リリースはある程度有効な打ち手といえる一方、その設計や制作には入念な準備が欠かせない、ということがうかがえます。
また費用や手間などを考えると、決して簡単な施策ではないので、個人的には「ここぞという時」に狙い撃ちするような使い方がよいのではないか、と感じました。
実際に役立つのかよくわからない微妙な結果になりましたが、もしよければ参考にしていただければ幸いです。
広報相談・無料壁打ち実施中!
最後に広報のみなさまへお知らせです。
メディア記事などを手掛けるライターをやりながら、企業の広報PR支援やコンテンツ制作も手掛けている私ですが、例えば
— 水口幹之|ライター×PR支援 (@mizumochy) November 30, 2023
「45分間無料で壁打ちお付き合いします!」
と言ったらニーズはあるのでしょうか。
もし希望される方がいらっしゃったらやってみようと思うのですが、いかがですか?
いま私は、広報のみなさまのお役に立つ新たなサービスを企画しています。そこで、ユーザーインタビューを兼ねて、広報のみなさまのお困りごとに対し、無料で壁打ちさせていただいています。
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ご興味のある方はぜひXのDMからお気軽にお声掛けください。
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