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宝物だが実を言うとまだ手になじんでいないコントラバス弓(私の暮らしを彩るもの#67)

コントラバスという楽器は他の楽器に比べて購入するハードルが高い。
高いのはもちろんだが、置く場所が無いし、それをいちいち運んで練習に行くのにもなかなかのエネルギーを使う(故にアマオケ界でコントラバス奏者も不足しているのが現実)。

そのため、多くのコントラバス奏者、特に楽器を借りられる学生は弓だけを購入するケースが多い。

自分は大学4年生の時に自分の弓を買った。
活動量に対し、結構遅い方だ。
しかも練習用の楽器は持っていたので、楽器を持って帰っていた皆と違って、練習のために弓だけを持ち帰る生活をしていた。

なぜ遅れたかというと、そのとき大学から借りていた弓に満足していたからだった(笑)

ある程度年季の入った決して綺麗ではない弓なのだが、そのぶんハードな演奏にも遠慮なく使えた。
毛の張替えもこまめにしていたので困っていなかった。

しかし一度その弓を電車の中に忘れかけたとき、弓だけを持ち帰る生活に限界を感じ、弓も自分のものを持とうと決めた。



弓はクロサワバイオリンのオリジナルモデルであるミュラーの弓を買った。
これは高校の時に使っていたものの上位互換で、大体13万くらいで手に入れた。
当時は北海道にいたので、レッスンの先生に頼んで弓を取り寄せて、弾き比べて決めた。

弓を買ってからも半年くらい、本番は残っていたのだが練習以外で自分の弓を使うことはほとんどなかった。
家で練習するときにはつかっていたのである程度は馴染んだものの、借りていたものには及ばず。

そしてそのまま引退してしまったので、この弓に愛着があるかというとちょっと微妙な感じだ。

でも、この弓を大学生の自分が買っておいてくれたおかげで、社会人になってからも家でなまらないように練習することが出来ている。
今この子しかいないと思うと、浮気していた時代より愛は深まりつつある。


まだすごくピカピカの綺麗な弓だ。
これに年季が入ってくるころ、私はどんな奏者になっているんだろう。

最近は時間があるのでこれを手になじませようと頑張っている。
練習は自分に向き合う時間でもあるので、ただ「楽しい」と表現できるものではないのだが、この弓がいてくれるおかげで音楽が出来ている。
それがいまはただ嬉しい。

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