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鍵盤リコーダー「アンデス」私の暮らしを彩るもの#10

以前、鍵盤ハーモニカの話をした。
そのときにちらっと登場した、鍵盤リコーダーが今回の主役だ。

え?鍵盤リコーダーって何???
と、最初は思った。

出会いは大学3年生の秋だった。
新しく組んだバンド(バンド?)の人に「じゃあカンウさんこれふける?」と渡されたのがアンデスだった。

ピアノが弾けて管楽器もやっていたので不安要素は無かったのだが、意外にこれが難しい。
なぜならアンデスは音程がとても不安定で、「ちょうどよく」吹き続けていないと気持ち悪い仕上がりになるからだ。


アンデスは公式HPによると「20数年前に作られ、すぐに忘れ去られた楽器」と表記されている。

元は鍵盤ハーモニカに代わる学校用楽器を作ることが目的だったらしいが、このように音程が難しい楽器。
合奏に向いていないことから、一時は廃番になった。

しかしその音程の不安定さが生み出す「ゆるさ」は唯一無二のものであり、その魅力を知る人々から再販の要望があったという。
有名なのはピタゴラスイッチでお馴染みの「栗コーダーカルテット」だ。
やる気のないダースベイダーのテーマと言われている「帝国のマーチ」はアンデスがメロディを担当し、曲の魅力である「やる気の無さ」を演出している。


アンデスを使ってメロディを奏でれば、どんな曲もやる気が無くなる。
アンデスを覚えた私はすぐに自分用の楽器を購入し、あらゆるメロディを吹きまくった。

また、しっかり安定した音で吹くと、リコーダーとオカリナの間のような音になり、これもまたいい。
笛が似合いそうな曲を奏でると「これこれ」となる。
リコーダーでは難しい高速の動きが、鍵盤だとできることもある。
ライブでは速い曲をやるのが定番だった。

晴れた日は外にアンデスを連れ出した。
ライブで沢山の人に聞いてもらった。


アンデスの写真がこれしかなかった


アンデスは愛され者だなと良く思う。
正直、完璧な楽器ではない。
楽器をやっていると音程が正しいことが正だと言われがちだが、アンデスをやっていると考えさせられる。
完ぺきではないところに、ゆるさや良さを感じて愛されている。
だから私は音楽で行き詰まったときにアンデスを吹くと、なんだか元気になれる。
アンデスには失礼かもしれないが、私の心の安定剤だ。

音楽やっている人の副業にお勧めです。
やっていないひともぜひ、この緩さを体験してみてはいかがだろうか。

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