小さな声の発信者は自分自身である可能性について考えた 本のフレーズから連想
目線の先には柔らかな黄緑色の無数の線たちが、現れては後ろに流されていく。耳にはゆったりと流れる広い水の音が、届けられては消えていく。揺れているはずの頭はいつになく冷静で、両足は交互によどみなく到達すべき場所をとらえていた。マスク越しにも懐かしい春の日のにおいが感じられて、余裕のある呼吸がリズミカルに繰り返されていた。目線を上げると水色の空の手前に、いくつかの葉が太陽の光を通過させて白い葉脈が見えた。それは目から入り脳を通って胸に刺さり、くすんだ私の心をじゃぶじゃぶと洗った。『