Mizupaku_みずぱく

頭の中。世のエッセイ/小説/ラジオに憧れて、なんてことない日常をいかに面白く言葉にできるのか、日々挑戦しています。珈琲好きの普通の会社員でございます。(Twitterやってます。) 【影響を受けた人】伊坂幸太郎/村上春樹/又吉直樹/若林正恭

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  • 読書にまつわること

    読書感想文、本をきっかけにしたエピソードなどをまとめます。

  • タイトルが自由律俳句

    自由律俳句をタイトルに載せて、500文字以下のショートエッセイを書いています。

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この怖さは期間限定ということを教えてくれた 『ナナメの夕暮れ』を読んで

#人生を変えた一冊 #ネタバレ 噴火直前の山のような地響きがして、不穏を表すプラスチックのにおいが漂う。台風の時に聞こえるような凄まじい風圧の音が、閉ざされた逃げ場のない空間に広がり壁を伝って循環する。その音が、お尻の下のシートから聞こえてくるのか、頭の上から聞こえてくるのか判別がつかなかった。私は背中が背もたれと同化して、腰がシートに埋め込まれるような感覚の中、斜めになった地球を窓から見ていた。外は明るいが日が落ちかけていて、街並みがピカピカと光り始めていた。私以外は皆平

    • 勇気をくれる歌『Birthday (Ghost like girlfriend)』を聴いた朝のこと

      ……….. ……….. 人間の要素を全部足して、人口で割った後のような、平均の人になりたい。 そうすればいつも多数派で、他の人の気持ちもよくわかる人間になれる。 そんな人は、他人に優しくもでき、自分にも優しくできる。 いつも余裕があって、充実した日々を大事な人と過ごすことができる。 ……….. ……….. 朝起きたての気分は様々で、同じ身体に違う人が入っているのかとさえ思う。だとしたら、今日は昨日と違う人だと気づくこの『私』はいったい誰なのだろう。くだらない質問を誰にも

      • 小さな声の発信者は自分自身である可能性について考えた 本のフレーズから連想

        目線の先には柔らかな黄緑色の無数の線たちが、現れては後ろに流されていく。耳にはゆったりと流れる広い水の音が、届けられては消えていく。揺れているはずの頭はいつになく冷静で、両足は交互によどみなく到達すべき場所をとらえていた。マスク越しにも懐かしい春の日のにおいが感じられて、余裕のある呼吸がリズミカルに繰り返されていた。目線を上げると水色の空の手前に、いくつかの葉が太陽の光を通過させて白い葉脈が見えた。それは目から入り脳を通って胸に刺さり、くすんだ私の心をじゃぶじゃぶと洗った。『

        • 春の道 無邪気な母が先導する

          #休日のすごし方 #タイトルが自由律俳句 『ここの木だったかな〜、こっちじゃなかったかな〜』 母が一生懸命探しているのは、以前カタツムリがたくさん付いていたという1本の木である。約2メートル間隔で生えている、2〜3本の木の間を行ったり来たりしている。 ・(今日は晴天で木の表面は乾いていたので、別のところに移動しているのではないか。) ・(前にいたからと言って、今日そこにいるとは限らないのではないだろうか。) ・(どうしてカタツムリがたくさん付いた木を私に紹介したいのだろうか

        • 固定された記事

        この怖さは期間限定ということを教えてくれた 『ナナメの夕暮れ』を読んで

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          施錠が気になる布団の中

          #タイトルが自由律俳句 お手洗いに行って、リビング方面に帰る前に、一度リビングとは反対方面の玄関に向かい、ドアの施錠を確認するのが日常だ。上の鍵よし、下の鍵よし、チェーンロックよし。工場の指差し確認同然だ。こちらの3点がそろっていないと安心できないが、逆にそろっていると深い安心を得る。最近は、確認を容易にするために、玄関を整理した。眺めの良い小さな愛すべき我が玄関。間抜けな私の行動は、行き過ぎると不安障害の一つ、強迫障害というものに分類されるようだが、今のところそこまででは

          施錠が気になる布団の中

          新しい靴が硬い

          #タイトルが自由律俳句 主要な駅で人がごっそり降りると、正面の席が空いたので座ることにした。腰を下ろすと足の裏への圧力が緩んで足先がじんわり温まるのを感じた。今まで血の巡りが悪かったようだ。新しい靴を履いてきたせいだ。 靴はきれいな方がいいと、誰かが言っていたが、それはどんな場面の話だったか思い出せない。少なくとも今日はあまり元気もないし、柔らかで履きなれた靴を履いて来るべきだった。しかも行き先はただの実家である。(ただのと言っては失礼かもしれない。)両親に、美しい靴を履い

          新しい靴が硬い

          リモートワークを嗜む BGMに助けられ文字の羅列と友になる

          渇目の前のスクリーンには文字と数字の羅列があまりにも清潔に並べられている。そこには温度はなく、感情ももちろんない。カラーはあるが、思いやりはない。なのに隙だらけで、改善点がべたっと残っている。先ほど長い長い打ち合わせが終わったばかりで、私はほとんど頭が働かない。さっきから画面を右から左へ切り替えているだけで、特に何も進んでいない。マウスのカチカチという音だけが聞こえている。頭が働かないだけならいいが、要らぬことを考えそうになっている。ああ、寄り道をして余計なエネルギーを使って

          リモートワークを嗜む BGMに助けられ文字の羅列と友になる

          あの頃の海外への興味はいつしか、『海外で働きたい』という今の願いに変わっていた

          浮初めて海外に興味を持ったあの瞬間は、おそらく大学2年か3年の頃だった。大学の暗い廊下を歩いていると、掲示板に英語学習のための短期留学のチラシが貼ってあった。いつも気にしてチェックしているわけではないので、見かけたのはほとんど偶然だった。このときに、行ってみたいという気持ちがすっと浮かんできた。理由はわからないが、これまで私の見えないところに潜んでいた『新しいことに挑戦したい』という情熱が、そのチラシをきっかけに見えるところまで浮上してきたようだった。あまり迷わずにやると決め

          あの頃の海外への興味はいつしか、『海外で働きたい』という今の願いに変わっていた

          唐揚げがおいしそうにお油に入っていた(現実と妄想の混合)

          揚職業柄、揚げ物をしている時間が長い。少しずつレシピを変えて、こっちの方が肉がジューシーだの、衣がサクサクだの、後で同僚と評価するのだ。評価時は2人以上だが、作る時間は基本一人なので、要するに、"頭の中フリーダム"の状態となる。今日は唐揚げを揚げていた。唐揚げを作る際は、まず生の肉の重量を測定する。次に、調味料の入った液体に漬け、漬け終わった後の重量を測定する。その後、打ち粉をして重量測定、衣をつけて重量測定、フライして重量測定と、とにかくすべての工程で重量を測定する。この数

          唐揚げがおいしそうにお油に入っていた(現実と妄想の混合)

          惜しい が愛おしい

          惜今朝、就業時刻前に私が調理室でサンプルを測定していると、後輩のひとりが入ってきて挨拶をしてくれた。そのあと『早いですね。』と言われたので、"うん、ありがとう!"と答えてしまった。すぐにズレた会話になっていることに気が付き、すぐさま"今のはありがとうじゃないね。"と言ってへらへらしていた。後輩は宙に浮くようなやわらかい言い方で『どういたしまして~』と言って去っていった。ズレた答えに合わせてくれてありがとう。けれど、なぜありがとうと言ってしまったのだろうか。とっさに出てきたもの

          惜しい が愛おしい

          毎週走る理由について書き留めておく

          謎朝のランニングの途中で花の写真を撮るのが好きだ。一生懸命撮っていると後ろから別のランナーが颯爽と通り過ぎていき、きっと私のことを不思議な人だと思っただろう。が、これはおそらく自意識過剰だろう。今日は小さなかわいい黄色い花の軍団がもっとも印象的だった。今朝はやや風が強かったが、昨日のようなじめじめした暑い重たいものではなく、さらっとしていてかつ日が出ていないので暑くもなく、走るのにちょうどよい天気であった。満足のいく写真を撮り終えるとポーチのポケットにスマホをつっこみ、再度走

          毎週走る理由について書き留めておく

          人間が人間を休もうとしている隙間で

          妄"全自動歯磨きマシンが開発されると嬉しいのだけど" と話し始めると、すぐさま同意の声が聞こえた。あまり感情を出さないタイプのその人が、目を少し大きく開けて、声が少し早く大きく高くなったので、かなり共感してもらえているとわかり、とてもうれしかった。『だけどぶくぶくが口からあふれちゃうからお風呂場がいいね』というので、"そのあたりは口の周りにフィットするカバーとかないのかな"と言いながら、自分がそのカバー付き全自動歯磨きマシンを装着しているところを想像した。半透明のシリコンでで

          人間が人間を休もうとしている隙間で

          コントロール外

          膨膨らんだお腹を前につけて、今夜も椅子に座ってみている。なんとなく暑くて小さい窓を開けているから、濡れた路面を通り過ぎるバイク音がいつもより鮮明である。家の前の道はそれなりの車通りがあり、しゅいーんというタイヤの音が続いていく。お腹が膨らんでいるのは少し食べ過ぎてしまったためである。お腹は上手に膨れて重みがあり、息を吸うとぎゅいーんと横っ腹が引っ張られる。息を吐くと、下腹に重みがのしかかり下腹の『重い。』という声が聞こえる。 なぜ食べ過ぎてしまうのか。ストレス?本能?ホルモン

          コントロール外

          反省、反芻

          行やってしまった。 貴重な経験をした。仕事で"大事な"機械の"大事な"ネジをつぶしてしまった。一つ目の大事は値段が高いという意味だ。2つ目の大事はそのネジをつぶしてしまうと今後皆が困るという意味だ。落ち込み、励まし、やさしさ、落ち込み、報告、フォロー、どんまい、落ち込み。川を流れる葉っぱのように、いろいろなことに出会える日常。そして川の流れは絶対で、いろいろなことに抗うこともできずに流されていく。私、1か月後くらいにまたひとつ心が強くなることでしょう。ただまわりがやさしい。フ

          疲れた日の夜は

          疲仕事が多くて疲れてしまい、なぜ私だけこんなに業務量が多いのだろう。と口に出すのは危険だ。なぜなら、『なぜ私だけ』というところに根拠がないからだ。もっと大変な人はたくさんいるはず。『もっと大変だぞ』に押しつぶされてしまう。今日は仕事が多いというよりかは、立ち仕事が続いたので疲れてしまったのだ。毎日立ち仕事の方々、申し訳ございませんでした。あまり謝ると自分がかわいそうになってきて、あまり考えると持ちきれないお荷物に増幅してしまうので、先ほど食べた通りもんの食感を思い出す。ねっと

          疲れた日の夜は

          起きてから1時間までの景色

          曇起きたい時間のちょうど15分後に起き上がる。ラジオの先で、おじさまが強く安定した声を並べていた。ベランダのカーテンを開けると重たい布団みたいな曇り空が目に入った。神様の布団だなと思った。そのベランダの窓から右手の小さい方の窓のカーテンを開けると、神様の布団はここからも見える。神様は思っていたより背が高いようだ。奥に押して開けるタイプの小さい窓の取っ手を握り、身体を預けるようにして隙間を作ると、冷たい湿った風がふわっと部屋に入り込み、少し部屋が広がったような感じがした。 鉄

          起きてから1時間までの景色