てぃくる 2 紅一点
「って言ったって……。ほんとにあたししかいないじゃないの!」
いやいや、お嬢さん。世の中、そんなに甘くはありません。
冬も本番。小鳥たちが、残っている木の実を必死に漁るようになってきました。クロガネモチの赤い実も徐々に数が減ってきますが、地面に散らかったまま食べ残されるものもあるわけです。
地面にぽつりと一つだけ落ちていた赤い実。食べられなくてよかったねと声をかけたいところですが、内実はその逆です。鳥に食べられることで遠くまで種を運んでもらう。それが彼ら本来の狙いですから。
紅一点? こんなところにぽつんと一人で残されても……そう思っていることでしょう。
◇ ◇ ◇
見つかって嬉しいか、それとも嬉しくないか。
かくれんぼでどんなにうまく隠れても、鬼から完全に見放されてしまうと、それは逆に寂しいかなと思います。
なりふり構わず自己ピーアールをするのは性に合いませんが、だからと言って電脳の隙間にずっと綿埃のように溜まるのも……ねえ。そのあたりの匙加減が、未だによくわかりません。
(2013-01-05)