てぃくる 314 桜闇
「桜がどんなに咲き誇ったところで、その花の下が闇になることはない」
「はい」
「だが、葉桜は別さ。茂った桜の葉は、他の木の葉と同じで闇を作る」
「木下闇ですね」
「そう。あれほど桜花を愛でた私たちも、桜闇ではうつむくようになる」
「桜闇……ですか」
「まあ、桜は善人や悪人というわけではない。桜は桜さ。でも、私たちはある時間断面の桜を見て、それが全てだと錯覚する。そういう私たち自身が、闇なんだよ」
「……」
「桜が、ではなくね」
(2017-06-10)
「桜がどんなに咲き誇ったところで、その花の下が闇になることはない」
「はい」
「だが、葉桜は別さ。茂った桜の葉は、他の木の葉と同じで闇を作る」
「木下闇ですね」
「そう。あれほど桜花を愛でた私たちも、桜闇ではうつむくようになる」
「桜闇……ですか」
「まあ、桜は善人や悪人というわけではない。桜は桜さ。でも、私たちはある時間断面の桜を見て、それが全てだと錯覚する。そういう私たち自身が、闇なんだよ」
「……」
「桜が、ではなくね」
(2017-06-10)