てぃくる 391 金の玉
「王様、とても珍しいものをお持ちいたしました」
「ほう、なんじゃ」
「金の玉でございます」
「……二つセット、ということではあるまいな」
「いいえ、たくさんございます」
「うむ。だが、金で作られた球は決して珍しくないぞ?」
「いえいえ、そんじょそこらの金珠ではございません」
「それを持つと魔法が使えるとか、そういうものか?」
「いいえ、そんな生易しいものではございません」
「悪魔が封印されているとか、か?」
「まだまだ。それならば他にもございますゆえ」
「ううむ、それほどの代物か……。そそるのう」
「そうでございましょう? 私もこれほどのものは初めて見ましたゆえ」
「で、どこがすごいのじゃ?」
「はい、この金珠は……」
「うむ」
ものすごく臭いんです!
「……」
「……あの?」
「衛兵。こやつを肥桶の中に浸けておけ。本物の金であれば臭いは付かぬゆえな」
☆ ☆
ヘクソカズラの匂いをどう感じるかには相当個人差があるようで、耐え難い臭気として徹底的に嫌う人がいると思えば、少し青臭いだけだよと、けろっとしている人もいますね。わたしも平気な方です。
そして画像のような完熟した実の状態になると、ほとんど匂いがしなくなるようです。
ヘクソカズラの黄金色の果実は、よくリースの材料などにも使われますね。デュランタの果実(golden dew drop)などと並んで、光沢のある黄金色果実の代表格だと思います。色合いの乏しい冬景色をほんのり照らしてくれますね。
(2018-02-09)