てぃくる 1032 あまのじゃく
初夏に芝地や草地でごくごく普通に見かけるランに、ネジバナがあります。
ランの仲間は希少性もあって大事にされるものが多いんですが、ネジバナはあまりにありふれているため芝と一緒に刈り倒されてしまうことがあります。とても丈夫で、どこにでも生える野草というイメージがあるんですが……実はそうでもないんですよ。
先だって無葉緑ランとしてタシロランをご紹介しました。その時に、ランが腐生菌の栄養をちょろまかしているというお話をさせていただきました。
タシロランと違い、ネジバナはちゃんと葉緑素を持っていて自力で光合成をするんですが。特定の菌と共生しないと生育できないという性質は、タシロランと同じなんです。
リゾクトニアというありふれたカビがパートナーなんですが、ネジバナとの共生には条件があるようで、その種の菌であればなんでもネジバナと共生できるというわけではないようです。
ネジバナは明るい芝地に好んで生えますが、そこがネジバナの好適地というだけではなく、ネジバナにくっついている菌にとっても好適地でないとダメということなのでしょう。
雑草なみにどこにでも生えるネジバナも、鉢上げするといつの間にか消えてしまう……栽培の難しさについては昔から知られていました。他のランは比較的容易に継代栽培できるのに比べ、ネジバナは気難しいんですよ。その難点に共生菌の影響があるのかも……ということなんですね。
芝地のものを掘り上げて鉢上げしても育たないのに、他の草を育てている鉢から勝手に生えてくることがある。ネジバナはとことんあまのじゃくなのかもしれません。
捩摺よ擦れているのは俺の方
(2023-07-19)
Spiral by 上原ひろみ