てぃくる 496 ガーゴイル
ガーゴイル。
ただの排水口を、なぜあれほどまでに醜く装飾するのか。理由はわからないが、化け物の姿で口から水を吐き出す様は決して快い光景とは言えない。もっとも、それが無装飾の円孔であっても快くはないのだが。
ガーゴイルは雨水を吐き捨てる。その『捨てる』という姿に、どうしても不快感を覚えてしまうのだろう。同じ水の出口であっても噴水の吐出口に対してそれほど不快感を覚えないのは、吹き上げる水に解放のイメージを重ねるからかもしれない。
では、水を吐かなくなればガーゴイルは再評価されるか? いや、醜い姿のままでずっと動かなくなれば、そこになにか不吉なもの、あってはいけないものが蓄積していくように感じるだろう。
ガーゴイル。
いつまで経っても水に流せない人間の業。そいつの凝り固まったやつが、今日も所在無げに水を吐く。
え?
断水中?
水がないと間抜けな顔になるんだよなあ
いえいえ。
ガーゴイルではなく、キノコです。コフキサルノコシカケのぼんぼろりんのやつかな。
ガーゴイルは西洋の教会などでよく見られますが、雨樋の機能を持った怪物などをかたどった彫刻です。不思議な造形のものが多いんですよね……。
心を形に表しなさいだって?
表せるなら心じゃないよ
(2019-01-05)