てぃくる 18 こんなところから失礼します
お花自体は珍しくもなんともないビオラなんですよ。でも、生えてる場所がアスファルト敷きの道路の割れ目。土なんかほとんどないところです。窮屈でかわいそうと思われるかもしれませんが、スミレの仲間は割とこういう窮屈なところに平気で生えます。都会のど真ん中でも、コンクリートの隙間や石垣の割れ目でちゃっかり花を咲かせていますね。
可憐な花に似合わず、スミレ類はかなりシビアな環境に耐えます。もちろんきれいな花を咲かせるのは春だけですが、基準種のスミレはそのあともずっと閉鎖花を出して、タネをぺっぺぺっぺとそこいら中に飛ばしまくっていたりします。
さらにさらに。スミレの種には、エライオソームという偉そうな名前のおやつ物質がくっついていて、アリを誘います。アリが欲しいのはおやつだけなので、タネがアリによって巣に運ばれたあと、用無しになったタネは巣からぽいっと外に捨てられます。それで、遠くまで旅していけるというわけなんですね。
可憐なスミレですが、決して見た目の可憐さに騙されてはいけません。意外にしたたかで、図太くて、人(アリ)をたらしこむ魔女なのかも。
あ、ちなみに。あまり知られていませんが、スミレ類には有毒なものも結構あるので、口にする際はご用心を。
(2013-04-07)