てぃくる 1025 暗ければ暗いでなんとかなる
世の中が暗いと文句を言うやつがいる。
文句を言う暇があるなら、自力で明るくすりゃあいいと思うんだが。
文句を言うやつほど、暗いところから出てこようとしない。
アスナロは耐陰性の高い針葉樹です。成長はゆっくりですが、樹体形成の柔軟性が高く、あっちゃこっちゃに枝を広げながらゆっくりと高くなっていきます。暗いところでずっと我慢するつもりはさらさらなく、暗いとへたってしまう陽キャの樹木を足蹴にしながら、最終的には高木になるのです。
アスナロの語源には諸説あって、「明日はヒノキになろう」に由来しているとよく言われていますが、俗説に過ぎないと否定する研究者も多いのです。わたしも、ヒノキの下位互換という見方は嫌いなんですよね。だって、アスナロの特性はヒノキとまるっきり違いますから。
ヒノキよりも暗い環境に耐え、ヒノキよりも湿った場所を好み、積雪地に適応した更新、樹体形成を行います。もちろん、分類上もヒノキとは異なる属に位置します。
アスナロというより、原産地で称されるようにヒバと呼んだ方がいいような……。
◇ ◇ ◇
自分は環境に恵まれていない。そう思うことは珍しくありません。
じゃあ、どうするか。なんですよね。我慢して好転を待つ。好環境の場所に移る。どちらもありでしょう。
でも。環境に合わせて自らを変えてしまう……そういう方法もあるんだなと、真っ暗なアスナロの樹下でしみじみ思ったりします。
木暮でも今なほ光る玻璃の星
(2023-06-27)