てぃくる 879 ごちゃごちゃと
「冬はすっきり清潔な季節じゃなかったのか?」
「そんなのは幻想さ。有象無象にうごめいていたものが、さっぱり消えてなくなるわけないだろ」
「じゃあ、誰かが片付けなければならないということだな」
「片付ける必要はないだろ。新しいやつがのさばれば、その下に隠れる」
「汚部屋の原点だな」
「自然界なんざ、隅から隅までもので溢れてるんだって。それが当たり前の姿だろ。今更何をとんちんかんなこと言ってるんだ」
「いや……おまえはよくても、俺には耐えられないんだ」
「ちょ! な、なにをするーっ!」
さて。ごちゃついているのが嫌いな彼は何をしたのでしょう。
実際のところ、つる草の這い回った跡が勝手にきれいになるってことはないですね。新しいつるは、古いつるの上を覆い隠すように繁茂します。つまり、一時的にでもきれいに見えているとすれば、誰かが片付けたからなんですよね。
枯れて茎葉がもろくなる冬は、後片付けの適期。わたしもずるずる引きずってるしがらみを、今のうちに片付けておくことにしましょう。
やっこらせ。ぶち。
ややこしや いつか使うと紐の山
絡まり解けず玉となる
今は単なる猫玩具
(2022-01-31)