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てぃくる 394 漕げ、漕げ、漕げよ


 漕げ、漕げ、漕げよ。英語を学ぶ子供向けの歌ですね。

 Row, row, row your boat,
 Gently down the stream.
 Merrily, merrily, merrily, merrily,
 Life is but a dream.

 明るい歌なんですが、子供向けの歌ではないよなあと。人生は夢に過ぎない、なんてオチはねえ。

 かいがあってもなくても、櫂を使っても使わなくても、船は川を下ります。それは、おぎゃあと生まれた赤ちゃんが誰であっても、結局最後が死で締めくくられることと同じ。じゃあ、なぜ櫂を使って漕がないとならないのでしょう?

 もしリアルな船なら、櫂を使って流れを遡ることが出来ますが、時間という川を遡れる船も櫂もありません。櫂で漕ぐのは船の姿勢と速度を調整するためであって、流下する船を止めることはできないんですよね。

 わたしなら。
 漕げ、漕げと急かす声が聞こえたなら、逆に手を止めたくなります。無為の意味や意義は、無為に漕いでいる間は決して分かりませんから。


の朽ちし和船穿うがちてあし芽吹く

(2018-03-03)

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