てぃくる 615 綿
綿に包まれたものは、とても暖かそうに見える。実際、繊維の間に空気をたっぷり孕んだ空間は、外気を遮断して寒さの侵入を和らげる。視覚的に暖かそうに見えるというだけではなく、本当に暖かいのだ。
しかし植物と我々とでは、綿毛の用途が全く違う。綿毛は種子を暖めるためではなく、風を受けて種子を遠くまで転がすためにある。我々が綿を見て抱くイメージと現実との間には、かなりギャップがあるということなのだろう。
「ところで。なんで、こんなところに綿があるのかね?」
さっき、あんたが言ったじゃないか。イメージと現実との間にギャップがあるって。
「ああ、そうだが」
俺は綿じゃねえよ。スジキリヨトウの卵塊だ。
☆ ☆
有名な芝の害虫ですね。見つけ次第抹殺してください。芽や葉を食われてひどいめにあいます。
枯芝に背中を預け宙を噛む
(2019-11-02)
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