てぃくる 472 嫁に来ないか
「俺、嫁な」
「男の嫁ってのは聞いたことがないが」
「しゃあないだろ。名前が嫁菜なんだから」
「不便だな」
「あんたみたいに、貝に間違われるよりゃましだ」
「まあな」
「で、嫁に行っていいか?」
「間に合ってる。俺の嫁はカタバミだ」
「おまえは嫁を食うのか?」
「俺も鳥や蜘蛛に食われるから、いいんだ」
「男二人だと、ろくな会話にならんな」
「嫁ならまだしも、冬将軍が来るし。あー、やだやだ」
ヨメナの花の上でのんびりお食事中のヤマトシジミ。雄の冬個体ですね。
ヤマトシジミはとてもありふれた蝶ですが、発生する季節によって羽の模様が変わります。秋から冬にかけて発生する蝶では、表翅の黒い縁取りが薄くなり、色も青より白が勝つようになります。冬の装いということになるのでしょう。
それにしても、どんどん気温が下がってきました。虫にとってはこれからが試練の時ですね。
薄い青をまとう花と蝶が、ほんのり溶け合い、共振して、ひととき生を寿ぎます。
翔べるうちはなほ花探す冬のてふ
(2018-11-10)