てぃくる 870 風船の中身
風船の中には何が入ってる?
それが空気なら、風船そのものの重さは重力に勝てない。誰かが持ち上げないと浮かばない。
それが空気より軽い気体なら、風船はふわりと浮かぶ。だが、果てしなく上昇できるわけではない。
それが水なら、そもそも風船という呼び名に相応しくない。水風船という無粋な呼び名があるにしても。
それが熱なら、風船はすぐに冷めて萎んでしまう。いつまでも熱を閉じ込めることはできない。
それが溜息であっても、風船は受け入れる。歓喜の叫びでも同じこと。それはただの呼気にすぎない。
それが想いなら、風船に詰める意味はない。何が内包されていても風船は風船でしかないから。
実のところ、風船の中には何も入っていないのではないのか。そう突き放した途端に、風船には何の魅力もなくなる。
ええと。こいつは風船ではなく、キカラスウリの果実です。中身は空っぽではなく、果肉と種子が入っています。でも、まるで風船のように寒風の下でゆらゆら揺れていました。
ちなみに。こいつの中身は強烈で、果肉食いの動物や鳥も滅多に手を出しません。おそろしく苦いんですよ。それでも果実はいつの間にかなくなります。糸の切れた風船が、どこかに飛んでいくかのように。
冬空へラジオゾンデを上げ 祈る
(2022-01-11)
Hot Air Baloon by Owl City