てぃくる 529 とげっとげ
「そらあ、あんたかて食われたないやろ。わいもや。せやからこやっておっ立てとるわけや」
まあ、見事な刺ですね。
山菜の代表格であるタラノキ。幹だけでなく、葉にもこういうごつい棘を立てます。何もそこまでとげとげにせんでもえやんと思いますが、ウコギ科の他の木と違ってタラノキは低木です。大きくは育ちません。棘がないと、鹿などの草食動物にすぐ食われてしまうのでしょう。
もっとも、まだ小さい芽のうちは棘も柔らかいので、人間には食われてしまうんですが。
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棘を立てるのは、もちろん自分を守るためです。植物はその棘込みで全体が造形されていますので、棘が自らを傷つけることはありません。
でも、人間はそうは行きません。自分を守るための棘があだになって、自分自身を傷つけてしまうことがあるんです。だからと言って全く棘を立てなければ、今度は他人に容易に食い荒らされてしまいます。
自分を守るためにどんな棘を身につけ、どのように使うか。
めんどくさいなあと思いますが、タラノキの芽のてんぷらでも食べながらぼつぼつ考えることにしましょうか。
(2019-04-18)