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てぃくる 536 木下闇
「気持ちのいい新緑なのに、浮かない顔だな」
「気持ちいいですか?」
「清々しいじゃないか」
「ちっともそう思えないです」
「変なやつだな。どうしてだ?」
「暗いからです」
「まあ、木下闇という言い方もあるからな」
「直接陽の光を浴びる方が健康的ですよ」
「直射光は、体によくないんだよ」
「そうですか?」
「肌への刺激が強すぎる」
「それでも、まばゆい陽光を直接仰ぐ方がいいです」
「好き好きだが、私は樹下の散光の方がいい」
「……そうですか」
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「まあ、一つだけ君に忠告しておこう」
「なんでしょう?」
「木下闇にはちゃんと需要がある。そいつがあるからこそ、私たちはここにいられるんだよ」
「お言葉ですが、逆もまた真なりですよ」
「ほう?」
「暗がりにたかると、いつまでもここに足止めされてしまいますから」
(比叡山延暦寺にて)
木下闇風と心をざわめかせ
(2019-05-06)