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てぃくる 1040 新盆に寄せて

 咋冬に母が世を去り、初めてのお盆を迎えました。
 近々納骨式を執り行います。遺品整理も含め、心の整理が一区切りということになるのでしょう。

 お盆と言っても、仏教徒ではない私は特段何もいたしません。
 そういや母はピンクのものが好きだったなあと、ベランダの花ものをぼんやり眺めながら生前のことを思い返しています。



『追憶』



山が好きだった母は
今頃山に登っているだろうか

旅が好きだった母は
今頃宿で寛いでいるだろうか

花が好きだった母は
今頃花畑を堪能しているだろうか

写真を撮るのが好きだった母は
今頃シャッターを押しまくっているだろうか

甘いものに目がなかった母は
今頃血糖値を気にせず食べまくっているだろうか

高校野球が好きだった母は
今頃テレビの前で声を枯らしているだろうか

キティラーだった母は
今頃リアルキティとハグしまくっているだろうか

韓ドラが好きだった母は
今頃「次は何を観よう」と迷っているだろうか

おしゃべりが好きだった母は
今頃誰としゃべり倒しているだろうか


穏やかに生きた母は
穏やかに生きようとしていたから
穏やかに見えたのだろう

しかし
母の歩んできた道が決して平坦でなかったことは
誰もがよくわかっている

だからこそ
旅立った母が彼の地にあってまで己を折ることなく
世界そのものがただ穏やかであれかしと心から願う

心から
そう願う


盆菓子と今朝見た夢が同じ色

(2023-08-15)

Memory of Mother by 佐藤賢太郎

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