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てぃくる 889 優しい会話
「どうしたの? 元気ないじゃん」
「パーマかけたんだけど。髪、爆発しちゃった。大失敗」
「ふふ。確かにすごいね」
「すごい? ひどいと思ってるんでしょ」
「いや、すごいと思うよ」
「どこが?」
「だって、あんた、そんな頭にされても怒れなかったんでしょ」
「……うん」
「普通さあ。速攻でブチ切れるよ。金返せ! 店長出せ! レベルだもん、それ」
「うう」
「でも、あんたの髪やってくれた美容師さん。一生懸命だったんでしょ」
「……うん」
「それ見て、怒れなくなったんだと思ってさ」
「怒りたかったけど……できなかった」
「そこがさあ、すごいんだよ」
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優しい人。
優しくできる人。
優しくしたい人。
優しくしてほしい人。
優しくしてもらえる人。
優しくできない人。
優しさを食い物にする人。
同じ『優しさ』を抱えているのに、全部違います。
そして、優しさを与える方も受け取る方も、出し方や受け取り方を細かく調整できるとは限りません。
たかが会話。されど会話。
優しさも資源なので、できるだけ有効に使いたいなあと思う、今日この頃です。
『がんばれ』の走り書き見て泣きそうになる
一人きりの朝の食卓
(2022-03-05)