てぃくる 403 近景と遠景
近くで見れば美しいのに、離れると印象がぼける
遠目で見れば美しいのに、近付くと粗が見える
じゃあ、どこから見ても美しい距離というのがあるの?
そんなの、ないよ
近くで見れば、近くで見た姿
遠くから見れば、遠くから見た姿
そのものがあるだけさ
勝手に形容詞をつけて差別してるのは君らだろ?
ゲンゲ。紫雲英。
日本では、レンゲやレンゲソウの方が通りがいいかもしれません。田畑の緑肥としておなじみのマメ科植物ですが、化学肥料全盛の頃に作付けが激減し、春の風景としてはむしろ珍しくなりました。しかし昨今、自然農法の普及とともに復活しつつありますね。
淡赤紫色の花は美しいんですが、よほどびっしり群生しないと強い印象になりません。接近して見た時の印象が、少し離れると薄れてしまうんです。でも記憶としては、花の群生している光景が彩度の高い形……いわゆる『盛った』形で焼き付きます。
都合のいい思い込みかもしれません。景色すらも変成、美化されて記憶に焼き付く……人間の感性のおもしろさ、あやふやさ、危うさを、ぽわっと咲いているゲンゲが教えてくれます。
淡き恋のおちこち萌えてれんげの野
(2018-04-21)