てぃくる 845 絶対に負けないジャンケン
「ぐー、ちょき、ぱー。どれかがどれかに負けるってことだよな」
「当たり前だろ。そうしないと勝負にならん」
「でも、それなら自分が負ける可能性が1/3はあるということだ」
「だから、それが勝負なんだってば」
「俺はどうしても負けたくないんだよ。絶対に負けない手を考えてみた」
「ほう?」
「その手は、なんだ?」
「ちょきだが、指がぶっといからぐーだと言い逃れられる」
「ぱーは?」
「腹を割ればぱーになる」
「確かにじゃんけんには負けないかもしれんな」
「そうだろ? 俺は天才だ!」
「だがしかし」
「なんだ?」
「猿に食われる。おまえの負けだ」
◇ ◇ ◇
お猿さんが食べるのは甘いはらわただけなので、じゃんけんの指の形なんざどうでもいいと思われます。もっとも、食われたから負けと考えるのは浅はかかもしれません。食われて初めて種子をばらまくことができるのですから。
勝負は下駄を履くまで、いや猿に食われるまでわからないのです。彼らの負けは……我々人間に食われた時だけでしょう。
酸い蜜柑押し付け合ってじゃんけんぽん
(2021-10-14)
Breakout by Miley Cyrus