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達者であれよ

昔、就いていた仕事の関係で、住宅関連のセミナーに参加したことがある。そのセミナーの中で、とある大学教授が、「兼好法師の徒然草では、家の作りやうは、夏をむねとすべし。とありますが、現代の考え方は逆で、現代の住宅は、冬を旨とすべきなんです。」という説明をしていた。
更にその説を補強するように、現代の家庭内で起こる高齢者の死亡事故で年々増加しているのが、ヒートショックという現象で、ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所へ移る時の温度差によって起こる身体にかかる負担のことで、夏によく耳にする、熱中症で亡くなる高齢者の数が数百人であるのに対し、ヒートショックが原因で亡くなる高齢者の数は約一万人にのぼることも合わせて説明していて、なので、住宅の断熱については、よくよく考えていきましょう、とまとめていた。

この事実が頭に残っているからか、秋から冬にかけて、だんだんと気温が寒くなると、知っている方の訃報をよく聞くような感じがしていた。その直接の原因は、ヒートショックでないのが多かったが、どうも年の瀬辺りは訃報がやたら多く感じられて、その仕事に就いている時も、年末は取引先の方や近親者の通夜によく参加していた記憶がある。なので、私の頭の中では、高齢者は夏の暑さにまいってしまうイメージよりも、冬の寒さに倒れるイメージが頭にこびりついてしまい、毎年冬になると、両親や親戚、また、仕事関係でお世話になった年配の知り合いの方々のことが、やけに気にかかる季節となってしまった。

結局、いくら心配をしても、私には何も出来ることもないし、冬の寒さ対策など、当人の方がよく熟知して、すでに行っていると思っている。なので、本当に気に掛けるくらいしか出来ないのだが、僅かばかりの気遣いとして、この時候の別れ際の挨拶に相応しいこともあって、「暖かくしてお休みください。」と、言うようにしている。
何の変哲もない言葉だが、この言葉がすぐに思いつくのは、詳しくは説明しないが、くりぃむしちゅーのANNをよく聴いていた影響が多大にある。

一般的に、若年層よりも高齢層の人達の方が、寒さで体調を崩しやすくなる気もするが、寒さが身に堪えるのは万人に言えることでもあるので、どうぞみなさん、あったかくしてお休みください。

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