「この曲にツッコミ!」【1】「まちぶせ」

★この記事は、フリーペーパー「浪漫社通信」のために書いた記事をネットで読み直せるように載せたものです。

不定期連載
「雪乃みづきのこの曲にツッコミ!」

第一回 「まちぶせ」
作詞・作曲 荒井由実
編曲 松任谷正隆

この楽曲は石川ひとみ版が有名ですが、もともとは荒井由実が1976年に三木聖子に提供したものです。1981年に石川ひとみがカバーして、彼女の最大のヒット曲となりました。
今回は三木聖子、石川ひとみ、そして作詞・作曲をしたユーミン本人の歌唱を聴き比べてみました。

三木聖子版と石川ひとみ版はほぼ同じようなアレンジになっていて、石川ひとみ版の方が三木聖子版よりやや研ぎ澄まされたような感じの音です。私はこの曲のイントロが昔から大好きで、この甘い夢のような旋律には女の子が好きな人を思う気持ちが溢れていて、イントロだけですでに気分が高まります。これから何かが始まりそうなドラマチックなイントロです。

三木聖子の歌唱は品のいいお嬢さんという雰囲気で、これはこれで良いのですが、私がもう何年も前から気になっていたのは、「これでは男は振り向かないのでは?」ということです。好きな人を自分のものにしたかったら、もっともっと心の底からたくらんで欲しい!たくらみ方が中途半端です。この程度では彼に気づいてもらえませんよ〜。

その点、石川ひとみの歌唱は、たくらんだことを一つ一つ確実に実行して着々と意中の彼の心を自分に惹きつけて行く過程がリアルに描かれています。前から好きだったあの人を何としても自分のものにしたい!という激しい情熱を心に秘め、それを表面には出さずあくまでも冷静に計画を実行する女の子。たくらみは成功し、彼は彼女のことが気になって気になって仕方がない…ということになるでしょう。
石川ひとみ版がヒットしたのは、彼女の可愛さ+女の子のしたたかさ+コケティッシュな雰囲気を秘めているのを上手に表現したからではないかと思いました。

そして最後にユーミンが敢えて「荒井由実」名義でシングルを出した「まちぶせ」ですが、三木聖子版、石川ひとみ版とは違う軽快なレゲエ風なリズムのアレンジ。余裕たっぷりに歌うユーミン版は、まちぶせなどしなくてもストレートに「あなたが好きなの。わたしと付き合って」って堂々と言っても大丈夫だって本人が一番わかってる気がします(この曲の本来の方向とは違ってしまいますが…)。

こちらの三曲は、ろまんしゃで聴き比べることもできますよ♪ご興味のある方は、是非。

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