絵本担当とお客様③〜書店で絵本を選んでほしい理由
“待ちよみ絵本講師”の内田早苗さんの記事をきっかけに、前回の記事から、SNS上で絵本を紹介しているサイトに対する違和感と、書店で絵本を選んでほしい理由を考えています。
2.(SNS記事は)発信者好みの選書に偏りがちな件について
個人のSNSの“おすすめ絵本の記事”の傾向として、作家、絵柄、出版社、題材、年代に関係なくどんな作品を選ぶのも紹介者の自由であること、そして、その選書に“選ぶ人の色”があることがあげられます。
膨大な絵本の中から選ぶ為それは仕方がないのですが、そのことが絵本の選書が紹介者の好みに偏りやすい原因ともいえます。
そのため、SNS上の数多の絵本紹介サイトを参照する前提として
自分の好みとそのSNSの記事の選者の好みが合っているかどうか
その発信者が何を大切にしてその絵本を選んでいるか
をきちんと把握することが大切だと強く思います。
もし、自分の好みと考え方にピッタリ合う紹介者に幸運にも出会えたらラッキー。豊かで幅広い絵本体験ができ、それは、お母さんにとってもお子さんにとっても幸せなこと。
一方
リアル書店の棚は良くも悪くも偏りなく❝公平❞です
その理由は…
絵本を担当の好みを優先して選書し棚作りを行うのは、場所的、物量的、時間的に難しいから
全国の書店の絵本担当は、毎月多数の新刊絵本の発注書ほとんどに目を通しそれらを吟味しながら発注しています。
書店の規模にもよりますが、私が勤務する全国展開のチェーン書店の場合、その月の‘推し絵本あるし、版元の営業さんから勧められて入れた本も複数入ってくる、報奨企画で必ず平台に置かなければいけない絵本もきまっている…。
このように、ゆっくり考える余地もなく、
捌くべき絵本が毎日大量に入荷します。
そして、決まった棚にこれらの本を全て置かなければいけない。
WEB上の“記事”ではなく、実存する“物である絵本”を扱っている書店の絵本担当にとって
毎日が絵本との格闘(気持ち的に)
です。
自分が好きな作家さんの絵本は、コーナーの片隅でそっと特集をくんだり、さり気なくpopで主張してみたり、そのくらいが精一杯です。
つまり、このような理由からリアルの書店は
担当好みの偏りなく❝公平に❞お客様のニーズに応える棚を作っていけて、
お客様が偏りなくあらゆるタイプの新刊、既刊絵本に触れられるようになる
ともいえます。
沢山の様々な人が集まるチェーン書店において、お客様が絵本を選ぶ理由は多岐にわたります。
知育に役立つから
絵本を使って躾をしたいから
知らない世界を見てほしいから
笑いたいから
怖い絵本が好きだから
昔自分が読んだ絵本を読ませたいから…
まずはこのような様々なニーズを満たすことができる近隣の書店を覗いて、色々な絵本に出逢っていただきたいなと思います。
SNSでオススメされていた本が実際にどんなものかを確かめるために書店に行くのも、アリだと思います。
絵本のサイズ感、重さ、印刷の色合いなど、実際に確かめないとわからないことも結構あるからです。
そこで、別のお気に入りの絵本に出会える機会も増えれば尚良し!です。