摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》
年ふりて傍目落ち着きたる様なれど、そはただ体力の衰微によるものにて、実はさして人となりの成熟に伴うものにてはあらず。
情感志操は未だ年端もいかぬ餓鬼郎党のまま、その溌溂に老いたる血肉の付き従わず、ただただ懊悩するばかりなれば、敢えてその懊悩を古の言の葉の律に綴り合わせ、嘆息の代わりとするも一興なりとて、二とせばかり詠み浸る。
その数、二百を超ゆ。只管暇に任せて思うまま詠みしものゆえ整理もおぼつかず、只そのままを示しおるなり。
一、
まず。愛しき愚犬の去勢