日曜美術館を見て(2023.9.3)
今回のテーマは霧の芸術家、中谷芙二子。
最初、ノズルで霧を作るということは、人間が自然を作ることだと考えて、正直抵抗感を感じた。
しかし、中谷芙二子の「礼儀を尽くせば自然が答えてくれる」という言葉には、自然に対する信頼感が溢れている。
霧はノズルから出た途端に自然に変わる。風の変化によって、霧も姿を変えていく。そんな様子を見て、「霧の芸術」とは自然と一緒に作る芸術なのだと実感した。
実は『霧の森』という作品を、私は東京都写真美術館(?)でスクリーン上映されているのを見たことがある。そこではちっちゃな子から中学生くらいの少年までが、無邪気に霧と戯れていた。そのとき、これは子供たちのための芸術だと思った。あるいは大人を子供に戻るための芸術とも言える。
霧とダンサー田中泯とのコラボレーションは、中谷が言ったようにジャズのセッションそのものだろう。霧の動きに合わせて田中泯が舞を変えていく。これこそ自然と人間の共生だろう。
霧には魔力がある
霧の中に入ると霧の一部になった気になる。この霧と一体化した気分は、今の都会ではなかなか味わえない感覚だろう。
最後に、中谷の「自然も変化できるならば人間も変化できる」という言葉は、これからも変わっていかなければならない自分に対するメッセージだ。