白雪姫なんて知らない(超短篇小説)
「鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番美しいのはだーれ?」
白雪姫の継母が魔法の鏡に向かって聞きました。
「それはあなたです」
魔法の鏡が言いました。
継母はそれを聞いて大満足するのが、寝る前のひとつの儀式になっていました。
「鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番美しいのはだーれ?」
「それはあなたです」
しかし、いつも同じ質問ばかりでは、魔法の鏡も飽きてしまいます。
そして今日も、
「鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番美しいのはだーれ?」
「それはあなたです」
魔法の鏡はその後に一言付け加えました。
「だって私はあなたしか見たことがないのだから」
継母は怒って魔法の鏡を割ってしまいました。
だから、白雪姫は毒リンゴも食べませんし、小人たちにも会いませんでした。
つまりは王子様にも出会えなかったという話。
チャンチャン!