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後ろ向き吾郎の伝説(超短篇小説)

皆さんは、後ろ向き吾郎という都市伝説を知っているだろうか。
都会を後ろ向きに歩き彷徨っているという男の伝説た。
実は、私が小さい頃、一度だけ後ろ向き吾郎に出会ったことがある。どうして後ろ向きに歩くのか聞いてみたら
「人生、過去は見えるが、未来は見えない。前を向いて歩いても先は見えないんだよ」
と言われた。
納得できずに見送る私を、後ろ向き吾郎は手を振りながら遠ざかっていった。
それきり後ろ向き吾郎には一度も会っていない。

今でも吾郎は後ろ向きで歩いているのだろうか。事故にでも遭ってなければいいが。過去を振り返りたくなったときに、そんなことを思ってしまう。

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