観覧車(詩)
観覧車の大きな輪を指差しながら
君はこれに乗りたいと言った
切符を買って球体の中に二人は入る
僕と君は円周となって昇っていく
二人は空に近づき
小さくなった町を見おろす
神様から見たら人間なんてちっぽけなものねと君は言った
せっかく神様に近づいたのだからお祈りをしようと僕は言った
一番高いところに着いたとき
二人はさらに上を見つめて
お祈りをした
何をお祈りしたかは二人とも内緒にした
僕は君の祈りが何だったか知っていたし
君も僕の祈りを知っているはずだったから
空が遠くなり地面が近づいてきた
僕たちは観覧車を降り
遊園地を後にした
結局これが二人の最後のデートになった
僕の祈りは神様に届かなかったわけだ
君があのとき何を祈ったのか
それを聞くことはもうできない