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森沢明夫『虹の岬の喫茶店』第六章『岬の風と波の音』を読んで

最終話は柏木悦子さんのストーリー。

若くして夫に先立たれ、夫が大好きだった三浦半島の岬の突端に喫茶店を構える。常連客とともに作られていく喫茶店。子供はいないが、隣には甥っ子の浩司一家が住んでいる。賑やかとは言えないが、日々充実した生活をしていたかに思えた悦子さんの本音が物語を進めていく。

いったい、悦子さんの人生は幸せなのか。
孤独と寂しさを抱えて生きてきたが、物語の最後で夫が絵に描いた朝焼けの風景を目にしたとき、悦子さんの選択は間違っていなかったのだと、ホっとした。

ひとつひとつの出来事で幸不幸を語ることはできないが、たぶん悦子さんの人生は全体的に見れば幸せだったのではなかろうか。

一度は喫茶店を辞めようと思った悦子さんが、気力を取り戻して、喫茶店を続ける決心した。今後もこの喫茶店は、いくつもの新しいストーリーを紬いでいくことだろう。

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