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エラリー・クイーン『レーン 最後の事件』読了
X、Y、Zと続き、最後に最後の事件を読む。再読。
結論は知っていたが、それでも楽しく読めるところは、さすがにエラリー・クイーンと言えよう。しかし、できれば結論を知らずに読みたかった。
考えてみるに、再読したのに初めてだと感じてしまうのは、それだけ記憶に残りにくい犯人やトリックだからであり、名著はどうしても記憶に残ってしまうようだ。残念だが仕方ない。
さて、次は国名シリーズの再読を始めよう。
安部公房『壁』読了4
『壁』についての考察及び疑問点
4.『S・カルマ氏の犯罪』について
①タイトルについて
安部公房の作品には登場人物に名前がないことが多い。しかし、この物語の主人公には「S・カルマ氏」という名前がある。(これは「名刺」の名前だが、「名刺」=ぼくと考えていいだろう。)
「カルマ」を調べてみると、「過去(世)での行為は、良い行為にせよ、悪い行為にせよ、いずれ必ず自分に返ってくる。」 という因果応報の法
クリストファー・ランドン『日時計』読了
丸谷才一翻訳。再読だが、これも40年以上前に読んだきりなので、内容はまったく覚えていなかった。
ミステリーというよりはアクション系なので、本格推理ファンには物足りないかも。ケントはこれでもかこれでもかと襲ってくるピンチを乗り越えられるのか?
ジョン・スラデック『見えないグリーン』読了
懐ミス。再読だが内容をすっかり忘れていたようで、初読のように楽しめた。鮎川哲也、法月綸太郎が絶賛した、本格ファンをうならせる奇想天外なトリック。
因みに読み終えた後、再読なのが確実な証拠が出てきた。なんと私は犯人とそのトリックを当ててしまっていたのだ。
次はこれも懐ミスのクリストファー・ランドンの『日時計』を読む。
安部公房『壁』読了1
『壁』についての考察及び疑問点
1.物語の分類
『S・カルマ氏の犯罪』→主人公が壁になる話
『バベルの塔の狸』→主人公が想像力を捨てて壁の外から戻れた話
『赤い繭』→主人公が壁になり、壁に囲まれる話
『洪水』→人類が壁の中で殺されていく話
『魔法のチョーク』→主人公が壁の外に絶望し、壁になる話
『事業』→想像力のない人間が壁の中で殺されていく話
E・C・ベントリー『トレント最後の事件』読了
再読。懐ミス(懐かしのミステリー)のひとつ。
チェスタトンの要請を受け、ベントリーが書き下ろした推理小説。現代推理小説の黎明を告げる記念碑的な名作。
推理だけで事件は解決するわけがない。著者は推理小説を皮肉るためにこの小説を書いたと言う。しかし、そのトリックは複雑で絶妙。大どんでん返しの初期の作品とも言えよう。恋愛を取り込んだ初めての推理小説とも言われている。
この後、クロフツやクリスティ、