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名画『モナ・リザ』に“神の子羊”と“天使の翼”を見た経緯と考察 #8

#8 マリアの橋
 私は、そのことを裏付けるものが何かないか、ネットで調べまくりました。そうすると、レオナルドが『モナ・リザ』よりも20年くらい前に描いた『岩窟の聖母』という絵があることを知りました。
 
 『岩窟の聖母』には、聖母マリアと幼児のキリスト、そして幼い洗礼者ヨハネと天使が岩窟を背景として描かれています。真ん中にいる女性が聖母マリアです(図24参照)。

 私は、『モナ・リザ』と『岩窟の聖母』をノートパソコンの画面上で横に並べてみました(図25参照)。

 すると、聖母マリアとモナ・リザの“服装”がよく似ていることに気が付いたのです。二人とも黒い服を着ています。ネットで調べてみると、当時のイタリアでは、黒い服というのは一般的に着られるものではなかったそうです。つまりレオナルドは、『岩窟の聖母』のマリアの黒い服を意識して、『モナ・リザ』に敢えて同じような服を着せたのではないかと考えました。
 
 さらにネットで調べると、『モナ・リザ』の上半身は、頭から薄くて半透明の黒いベールで被われているということがわかりました。この黒いベールは「グアルネロ」といって、ルネサンス期イタリアで妊娠中または出産直後の女性が着ていたドレスだそうです。
 
 出産直後の女性・・・このとき、当時のリザは、次男アンドレアを出産していたことを思い出しました。つまり薄いベール(グアルネッロ)は、イエス・キリストを出産した聖母マリアを意味しているのだと直感しました。
 
 私は、聖書においてイエスの出生について記載されている部分をネットで探してみました。すると、聖書の「ルカによる福音書の第2章(Luke 2)」には、イエスの誕生が記述されていました。そのとき、さきほどモナ・リザの瞳に記された暗号で紹介したシルヴァーノ・ヴェンチェッティ氏が言っていたネットでの記事のことを思い出したのです。シルヴァーノ・ヴェンチェッティ氏は、背景にある橋のアーチには「72」あるいは「L2」のような文字があるとも言っていました(図26参照)。

 私は、その文字は「L2」の方だと思いました。そうです、Luke 2を意味するL2です。
さらに私は、L2の文字が橋のアーチに書かれていることから、『モナ・リザ』に描かれている“2つの橋”が、実は聖母マリアのイニシャルである“m”の文字を表していることに気づいたのです(図27参照)。

 具体的には、川岸から2本の橋の部分をなぞっていくと、イタリア語の筆記体の『m』の文字になるのです。橋は川の両岸を往来するためのものです(図28参照)。この2本の橋は、『m』の文字を書くときに、ペン先が往復する二本の直線部分を示しています(図29参照)。


 レオナルドはリザ、即ちリザ・マリア・デ・ゲラルディーニ(Lisa Maria de Gherardini)に聖母マリアを重ねていると、私は思います。
 

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