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【詩あそび七十二候】鴻雁北~こうがんきたす


なにひとつ
傷つける事などできなかった
あなたはそこにあり
わたしはここで一人

──ひとり、
 欠けることも満ちることもなく
 あったのだ。
 確かに、それらの日々は

そして遠く歩んでゆく
その先でまた
誰かのひかりに触れてゆく
あなたも
わたしも
春を懐かしむ眼差しを持ったまま

(時には見えぬふりで目を閉じて──)

北のそらは冴え冴えと
語られなかった季節を湛えている


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