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【詩】カローンの娘たち

20220409カローン

まな板の上には洗いたての人参
光は花の形で
 咲きこぼれ
  咲きこぼれ

    ああ
     あふれてしまう
   
そろそろわたくしの娘たちは
息子たちを殺せただろうか
うつくしく
切ることはできただろうか
その腕を

そうね
もう少しだけ教えておくのだった
包丁の研ぎ方も
飾り切りのしかたも
もう渡す事ができない

  ひつようなことなど
   そんなに多くはないのに
  いつもいつも間に合わない

歌は向こう岸へは届かず
舟は行ったきりで
花が花である事はなんと難しいのだろう

 みずみずしく切り刻まれた人参は
  湖に命を捧げ
  再びの朝のために溶けてゆく

帰っておいで
娘たちよ
吐息になって
その河を渡って

帰っておいで
もう一度、殺し方を教えてあげるから

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