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【詩】Goldfish/not Crimson (2篇)

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口紅は見えない場所に引くの
これは私だけのヒール
ぬるい水に似合う尾びれは
飾りなんだって覚えておいて

小鳥じゃないから
愛されるための翼なんてないわ
だからせめてひらひら、望まれるままにひらひら
でも触れてはだめ 正しくいたいのなら

さあ
ぬるい水の中で今日も
届かない歌をうたってあげる
飛び込んで来る勇気もない君が
空っぽの夢を愛せるように

だけどそうね
時にはぶちまけて見せて
あなたの中の赤
溢れてしまうものを

* * *

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愛さないで
認めないで
揺らさないで
知らないままで
ぬるい水で眠らせて
あなたの熱を忘れるように

この街は少し渇いていて
夢を見るには丁度いい
優しい手のひらが通り過ぎるたび
赤いひれが伸びていく
ねえ
雨が欲しいなんて言ってない

小鳥たちよ愛をうたって
獣たちよ命をうたって
空を想う私の
眼を焼き尽くして

許さないで 愛さないで
知らないままで 遠くへ行って

そこに愛があるのなら 優しい獣たち


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