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【詩あそび七十二候】葭始生(よしはじめてしょうず)

胸のあたりに角ぐむ
葦が語るのは
もうずっと昔に帰っていった
誰かの言葉
湿原をゆくのなら
恐れずにおいで
手放すことも
忘れられることも

いつかの冬は 土の下に
ねんごろに葬られ
空っぽの茎をつたって
水は溢れてゆく
水辺には
名も知らぬ鳥たちが
巣をかけるだろう
夏の光だけをたよりに
秋のかげりも知らずに

うつろの身体に
満ちることなく過ぎゆく
あまたの風
私のささやきは地に落ち
いくつめかの春に芽吹くのだろう
誰かの大地に
角ぐむようにして

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