詩「サヨナラよりも」
サヨナラよりも悲しいものを 私はいくつ数えただろう
届かなかった言葉を捨てて
明るいひなたを歩くこと
二度とは会えないだれかはいつも
写真の中で笑うこと
消えたい命のその傍らで
季節がただしく進むこと
サヨナラよりも愛しいものを あなたはいくつ知るだろう
こごえる桜の梢の先に
ほんのり春がにじむこと
二度とは会えない誰かの声が
ときおり胸をよぎること
生きよと願う誰かの声が
お腹をすかせてくれること
さよならさよなら ちいさなものよ
あなたのよるは つづきます
あしたのあしたの またあした
あなたのいのちが つきるまで
つちへとかえる そのひがきたら
またあいましょう だきあいましょう
ともにせかいをくるりとまわり
それから ほとりときえましょう
サヨナラよりも愛しくて悲しいものを思い出に
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