アスタロト公爵#8悪魔の君主アスタロト公爵
※この物語は 「阿修羅王」本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。
トンニャンは勧められもしないのに、勝手にローズティーに口をつけた。
「ふ・・・ん。けっこういけるな、いい趣味をしている」
「さっきから上げたり下げたり、何が言いたいんだ」
「下げたりなんかしてないさ。少女趣味だと言ったが、趣味が悪いとは言ってない。
むしろ、少女だったら、胸が躍るだろうな、この部屋は」
トンニャンは暖炉の上に並んでいるアンティークドールに目をつけた。
「たいそう古い物から新しい物まで、ずいぶんたくさん集めたな。
コレクターか?」
「まあな」
アスタロトはそう答えた後、急に赤面してゆくのを感じた。
「違うんだ。トンニャン!」
アスタロトが言い訳しようと顔を上げると、トンニャンはいつの間にか、暖炉の前まで行き、アンティークドールを食い入るように、見つめていた。
そしてその姿は、かつて二十世紀の終わりに人間界で見せた、少女の姿そのものだった。
「心配するな。大切にしている物は触ったりしない。
ちょっと見せてもらっているだけだから」
トンニャンのキラキラ輝く瞳が、天使だった頃の自分と重なった。
アスタロトは言い訳するのを止めた。
「リオールの事なんだが・・・見たんだな?」
「あぁ、フェアリーの力を借りてな。
フェアリーは、天使が魔界に迷い込んだと思ったらしい。まさか、それがリオールだったとは・・・。
今まで、一度として、あの天使の波動をリオールから感じる事はなかった。それなのに、六枚も翼を持っているとは。
あれではルシファー様やミカエルと同様のセラフィムではないか」
トンニャンはローズティーを飲み終えると、もう一杯透明なポットから、ティーカップに注いだ。
「アスタロト、取引だ。リオールをおまえが捕らえた事は不問にする。
ルシファーには話さない。そのかわり、リオールの翼の事は他言するな」
「特に三大実力者には、か。
ふっ・・・心配するな。やつらとは今でこそ均衡を保っているが、もともと仲がいいわけではない。
むしろ、敵対していると言っても、過言ではない。こちらから情報提供する事はありえない。
それより、ルシファー様の方が恐ろしい。リオールが黙っていてくれるかどうか。」
「リオールには、わたしから口止めしておく。
あれはまだ子供だ。黙らせる方法はいくらでもある」
「トンニャンにかかれば、皆子供あつかいだな。
あれでリオールも、何十万年かの時を過ごしてるはずだぞ」
「たかだかな・・・」
アスタロトはソファーのフチの部分の、柔らかな感触を楽しんでいたが、皮肉な笑いを浮かべた。
「悪いやつだな。脅しか?いい大人が子供をいじめているようだぞ」
「いじめているのではない。物の道理と、生きてゆく為に必要な術を教えてやっているだけだ」
「ルシファー様は、何故リオールを天使として誕生させたのだ?」
「そこまで聞きたいか?」
「いや、ただの興味だ。好奇心が強いだけさ」
「では、わたしとアシュラを監禁した訳は?」
「もう、わかっているだろう」
ありがとうございましたm(__)m
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