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かげろう奇譚Ⅱ #15
翌日 和美は学校で、夕べ見た月の話をした。
ところが、昨日の月を見た友達は 誰もいなかった。
外があんなに明るかったのに、誰も外に出なかったのか。
誰も外を見なかったのか。
和美は納得のいかないまま、下校した。
そして 家に帰り 開口一番 母にこの話をした。
母は 不思議そうに顔をゆがめた。
「昨日、月なんて 出てなかったよ」
月の光が遠のいて、気がつくと あの時の母の言葉を繰り返す自分がいた。変わることのない繰り言をつぶやきながら、
和美は正気を取り戻していった。
あの夜の月はなんだったのだろう。
あの日、和美にしか見えなかった月。
もしかしたら、和美の心の中だけの月だったのか。
今となっては 何もわからない。
それより 今はこの新作だ。
和美は ため息をつきながら、新たな月の導きに従った。
かげろう奇譚Ⅱ #16に続く
かげろう奇譚Ⅱ #15
最新作「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
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SIRIUSの小箱
(実はけっこう前からセラピスト( *´艸`))
始めました
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