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トンニャン最終章#8 ルキフェル第三軍団大将サルガタナス

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「ウリエルの巻」の次、「サルガタナスの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「サルガタナス、マルコシアス、見てきたものを話して」
 いつの間にかサルガタナスとマルコシアスが、かしずくように片足をたて、サーティの前にひざまづいている。
 「おまえ、本当にサルガタナスもあごで使うようになったんだな」
 「あら、アスタロト。この二人は共犯じゃない。まだ、あなたと結婚もしていなかった私を、サルガタナスはマルコシアスに、私を襲わせたのよ。
未遂とはいえ、ルシファーが知ったら、何て言うかしら。今も命があるのは、慈悲深い私のおかげだわ」

 
この女。ルシファー様の娘でなければ、首をしめてやるものを。

 
「あなたには無理よ、サルガタナス。私が、心が読めること、知ってるわよね?」
 
「実際に見てきたことを話して」
サルガタナスは唾を飲み込んだ。あの悪ふざけで言ったひとこと。マルコシアスが本気にしたばっかりに、サーティの命令に逆らえなくなった。このマルコシアスのドジのおかげで。

 
「ノアの船は、準備された通りに飛び立ち、残された地上には雨・嵐が吹き荒れ、さらに大地が揺れて陸地に波が押し寄せている」
「まさに、ノアの洪水。かつての洪水の時と、同じ状況だ」
マルコシアスも口添えした。
 
 
「見てみろよ、二人とも」
さっきから、しつこくアスタロトがクリスタルを見せたがる。サーティも座って見ろと言う。実際に見てきたことを報告したのに、さらに何を見ろというのだ。
 
サルガタナスとマルコシアスは、言われるままにクリスタルに近づいた。
「これは、クビド?し・・しかも二人いる」
サーティは面白そうに笑っている。サルガタナスには、わけがわからない。
「別な場所も見てみてよ」
クリスタルをまわす。
 
「おい、見ろよ、マルコシアス」
クリスタルの中には、洪水で波に飲まれる人々を助けようとしている異教の神々の姿があった。
 

こんなにいたのか?いや・・・こんなに、どこに生き残っていたんだ。
 

「あれはオーディンか?アヌビスの姿も見えるぞ。・・・まさか、あれは?」
「アマテラス。日本民族はとっくに滅んでいるのに、まだ信仰は生きていたということか?いったい、八百万(やおよろず)の神々は、どこにいたというんだ。」
「それだけじゃない。かつての神話を彷彿とさせる。ヴィシュヌらも全く変わらぬ姿で現れているじゃないか」
「いや、それどころか、ペルシャ・ヘブライ・中国・・・中には、忘れられたと思われていた神々まで。」
世界中に・・・・
「世界中に現れているな。」
いつのまにか、少し離れて立っていたリジュまで、クリスタルを覗いている。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#8 ルキフェル第三軍団大将サルガタナス

※オーディンは北欧神話の神。アヌビスはエジプトの神。アマテラスは、ご存じ日本の神(天孫降臨、みかどの祖であるニニギノミコトの祖母です)
そしてヴィシュヌは「阿修羅王」編に登場するインドの神です。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら

https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
ヴィシュヌをはじめとしたインドの神々が登場する阿修羅王編は、
書籍にて

次回トンニャン最終章#9 サルガタナスへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n975ce892d986

前回トンニャン最終章#7 サルガタナスはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n92ff636dc10f

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