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アスタロト公爵#11ルキフェル第五軍団中将マルコシアス

※この物語は 「阿修羅王」本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。

・ ・・・俺は何だってこんな所にいるんだ?なんで、こんな事になっちまったんだろう・・・。

 【ルキフェル第五軍団司令官 中将マルコシアス】
 魔界でルシファーに次ぐ地位といえば、ルキフェル・ベールゼブブ・アスタロトの三大実力者だ。そしてその下に七十二人の魔王がいて、六千六百の軍が控えている。三大実力者の一人ルキフェルは、七つの軍団を率いているといわれる。
 マルコシアスは、その第五軍団の司令官で、三大実力者の地位を狙える位置にある、七十二人の魔王の一人だ。姿は翼を持った狼で炎を吐く獰猛な悪魔であり、三十の軍団を率いているとも伝えられる。
 マルコキアスと呼ばれることもあり、かつては中級四階級のドミオンズ(主天使)又は、下級七階級のプリンシパリティーズ(権天使)の地位にいた、堕天使ともいわれる。

 「おい、どこから入ってきた?いったいいつの間に・・・。いつから、そこにいる?」
 アスタロトは自分の部屋のロココ調のソファーでくつろいでいたが、突然の気配に顔を上げた。同じソファーに寄りそうように身体を横たえていたフェアリーのリジュも、驚いて身を起こす。

 アスタロトとリジュの眼に映っているのは、二本足で直立している翼のある狼、そしてその後ろで腕を組んで横を向いて立っているのは・・・。
 「マルコシアス?・・・それに、おまえは?」
 マルコシアスの後ろにいる者は、ゆっくりと首を回してアスタロトを見て微笑んだ。
 「サーティ?」

 アスタロトは我が目を疑った。そこにいたのは、大魔王ルシファーと魔女裁判長リリスの長女サーティだった。
 「何故だ?この城には簡単に入れるはずがない。七十二人の魔王はもちろん、三大実力者とて入れぬように、何重にもシールドが張ってある。」
 マルコシアスは気まずそうに頭をかいた。サーティはそれを横目で見て、またアスタロトに目を移した。
 「残念ね。私に入れない所なんてないのよ。知らなかったでしょ?」

***

 サーティは、ルシファーの城の西のはずれにある小さな庭を散歩していた。その庭はサーティが好んで毎日歩く庭。色とりどりのバラが咲く庭に立つサーティは、白いドレスに身を包み、銀色の長い巻き毛を風にまかせ、少し微笑んで愛する庭を見回している。
 ふと、サーティは一本の赤いバラに目を留めた。そのバラは白いバラの中で、凛として一本だけ立ち、白いジュウタンに付いた鮮やかな血のように誇らしげに咲いていた。
 サーティは腰を落とし、その赤いバラに手を伸ばした。ビロードのような柔らかな花びら、その花びらから茎に指を這わせる。サーティの指に赤いバラの棘が刺さった。ゆっくりとサーティはその指を目の前まで持ってくる。指からは、細く長く赤い血が流れ落ちていた。

ありがとうございましたm(__)m

アスタロト公爵#11ルキフェル第五軍団中将マルコシアス


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