トンニャン過去編#12 トム・クワイエット(原題「ふしぎなコーラ」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
「トム。昨日トムの家に、行き倒れの人が担ぎこまれたんだって?」
セカンダリースクール二年生は今日で終わり。明日から夏休みになり、夏休み明けにはセカンダリースクールの三年生だ。
トムは毎日スクールバスでセカンダリースクールに通っている。
トーニ・バロンとは、同じバス停から乗る。プライマリースクールの時から、いや、物心ついた時からトーニが横にいた。
「トーニ、情報が早いな」
「つい二軒隣だもの。それで、その子どんな子?名前は?」
バスの隣の席で並んで座り、学校へ行くまでの間トーニは毎日しゃべり通しだ。
「名前は、コーラ・デビル。それ以外は記憶喪失らしく、何もわからないんだ。」
「デビル・・・?」
一瞬、トーニの眉間にしわがよる。
「記憶喪失って、何も覚えてないって事?・・・よく、名前だけ覚えてたわね」
その時バスが大きく揺れてトーニの身体がトムの方に倒れ、ほんの少しお互いの唇がふれた。
「・・・ご・・・ごめん」
トムが下を向いて謝る。
「いいのよ。だって、私達・・・」
トーニが赤くなってうつむいた。
そう、つい半年ほど前、トムもトーニも十三歳になった時、二人はただの幼なじみに終止符を打ったのだ。
両親に特別話したわけではないが、二人はお互いを特別な関係として付き合う事に決めたのだ。
「こんにちは」
「あら、トーニ、家に戻ってから来たの?」
母がキッチンから顔を出す。
「バスから降りてすぐ来ちゃった。コーラに会ってみたくて」
「そう、眠ってるかもしれないわよ。もし起きてても、疲れさせちゃダメよ」
トーニは学校からの帰り、その足でトムに付いて来た。
コーラは起きていた。起き上がってベッドに座っていた。
「コーラ、起きてて大丈夫なのか?」
「ト・・ム?」
「そうだよ。学校から帰ってきたんだ。こっちは・・・」
「トムのガールフレンドのトーニ・バロンよ。二軒隣に住んでるの。
明日からは夏休みだから、毎日お話に来るわ。トムじゃ女の子の事、わからないだろうし」
「なんだよ。それ」
トーニがベーッと舌を出した。
するとコーラがふふっと笑った。
「仲が良いのね」
「そう、トムと私は仲がいいのよ。だから、トムの家にいるコーラとも私は仲良しになりたいわ」
「有難う」
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#12 トム・クワイエット(原題「ふしぎなコーラ」)
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