アスタロト公爵#23ハエの魔王ベールゼブブ
※この物語は 「阿修羅王」の本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。
「あ、ベールゼブブ様とアスタロト様が・・・」
皆が二人の方を見ると、二人の影が重なって見えた。
やがてそっとベールゼブブがアスタロトから身体を離す。
エンジェルス達はほうっと息をついた。
アスタロトの唇が濡れて、頬が上気している。
「もうご夫婦なられて長い年月が過ぎたのに、お二人は恋人同士みたいね」
「私達には生まれた時から、許されないことだわ」
黒髪の娘もアスタロトの黒髪を見つめている。その娘の黒髪を仲間の一人が触れてきた。
「本当にきれいな髪ね。もったいない」
「ほんとね。あなたほどの美しさなら、上級天使にも愛されるでしょうに」
「だめよ。しょせんは最下級のエンジェルス。夢を見るだけ辛いわ」
「そうよ。あなた、恋をしてはいけないわ。その美しさなら誘惑も多いかもしれない」
「でも、誘惑に負けたら、パワーズ(能天使)に捕まって堕とされるわ」
「怖いわ。堕天使になったら、魔界に堕とされるんでしょ?」
「あ、あれは何?」
エンジェルス達が声をひそめる中、いつのまにかベールゼブブとアスタロトのまわりを大勢の天使達が囲んでいた。
それが武装したパワーズ(能天使)である事は一目瞭然だった。
ベールゼブブとアスタロトが捕らわれると、遠くから光が見えた。
まぶしさに眼を細めるエンジェルス達。
その光の先には、パワーズ(能天使)指揮官ラファエルの姿が・・・。
「何て・・・言ってるのかしら?」
「罪状を言ってるようだけど、よく聞こえないわ」
ラファエルの言葉は、遠すぎてエンジェルス達の耳まで届かないようだ。
やがて、ベールゼブブとアスタロトは捕らわれたまま、引き離された。
その時、振り絞るような声が聞こえてきた。
「アスタロト、必ず見つける。どこに堕ちても見つけ出す」
「ベールゼブブ、どこへ堕ちても、二度と会えなくても、あなたを決して忘れない」
離されていくベールゼブブとアスタロト。声がますます大きくなる。
「アスタロト、忘れるな!おまえだけを愛している。どこにいても、女はおまえだけだ!」
「私もよ、ベールゼブブ!あなたしか愛さない。私の愛する男は、ベールゼブブだけ!」
その言葉を最後に、ベールゼブブとアスタロトは、パワーズに引き連れられて消えていった。
エンジェルス達は花園で立ち尽くしていた。その後ベールゼブブとアスタロトが魔界に堕とされた事は明らかだった。
立ち尽くすエンジェルス達の中に、黒髪の娘もいた。
彼女の心の中で、ベールゼブブとアスタロトが最後に言った言葉がいつまでも響いていた。
アスタロト、女はおまえしか愛さない!
ベールゼブブ、男はあなたしか愛さない!
ありがとうございましたm(__)m
アスタロト公爵#23ハエの魔王ベールゼブブ
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