アスタロト公爵#19悪魔皇女サ―ティ
※この物語は 「阿修羅王」の本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。
「体が冷えてしまったね。風邪をひいてしまうよ。もっと、こっちにおいで」
アスタロトがサーティを引き寄せて軽く抱きしめる。
「サーティ、すべてが見えるのはおまえの能力だから、仕方がない。でも、夫婦になったんだから、嘘は無しだ。わたしの聞いた事には答えてくれ」
「そうよ。ルシファーは、リオールの相手として、私を作ったの。初めから、生まれた時から、彼の妻になるはずだった」
「それが、どうして?」
「生まれてから、リオールも私も、ルシファーとリリスの思惑通り、お互いを求め合ったわ。
でも、リオールは、私を大切にするあまり、ルシファーの許しが出るまでは、決して私を自分のものにしようとしなかった。
ほんっとに、バカ真面目なんだから!」
アスタロトはちょっと微笑んで、腕を出してサーティの頭を乗せると、もう一方の手で、サーティの髪を撫でた。
「確かにな。まともに戦ったら、三大実力者もリオールに勝てないかもしれない。だが、悪魔にしては優しすぎるな」
「そうしてるうちに、光が堕ちてきたの」
「堕天使か?堕ちてくる時は、まだ光が残っているからな。でも、地に堕ちるまでにその光も消える。・・・誰の光だ?」
「・・・コーラの・・・」
アスタロトの眼が泳いだ。どうリアクションすべきか迷っているのか、言葉を失っている。
「・・・コーラの事は、すぐルシファーに報告したわ。リオールが追いかけ始めた事も。・・・それ以来、もうリオールは、私の元へは帰って来なかったの」
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「サーティ、やめろ。よすんだ。こんな事、アスタロトにばれたらどう言い訳する?」
口付けしながら、リオールの首筋に指を這わせるサーティが、少し顔を上げてリオールの不安そうな眼を一瞥した。
「アスタロトは驚かない。たとえ今、彼がここに来たとしても。だって、彼は知っているもの。私のあなたへの気持ち。私がどうしてアスタロトとの結婚を望んだかも」
「知っている?知っているって何を?」
サーティはもう一度リオールに口付けると、舌なめずりしながらリオールの髪を指ですいた。
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「・・・ルシファー様は、考えを変えた。コーラを、リオールの相手として、堕ちてきた時から考えていたんだな?」
「そうよ。私という相手を作っておきながら、突然・・・突然よ。
私の気持ちなんて、何も考えずに」
「・・・ただの堕天使ではないんだな。いや・・・いい。聞かないでおく。
わたしには荷が勝ちすぎるかもしれない。知らない方がいい」
サーティはつんとして、頬をふくらませた。
「何よ。アスタロトまで」
「それよりサーティ、おまえはそれからも、ずっとひとりでいただろう。
やっとリオールの事を諦めたのか?」
「諦めたと思う?」
アスタロトは首を振った。
「いや、諦めたなら、こんな話はしない。おまえの言い方には棘がある。リオールの今を認めている話し方じゃない」
ありがとうございましたm(__)m
アスタロト公爵#19悪魔皇女サ―ティ
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