見出し画像

かげろう奇譚Ⅱ #12

入会して半年、もう秋風が吹くころだったと思う。
その日 先生は次のお題は「月」とおっしゃった。
また 頭をかかえた。
抱えながら 和美にはひとつ 心にかかるものがあった。
しかし オリジナルしか書いたことのない和美には、
それを作品化するなど 発想外だった。

そこから昔のネタ帳をひっくり返し、何年か前にメモしてあった
あるネタのさわりの部分を月に絡ませ、何とか書き終えた。
これが幸か 不幸か 先生の文学者としての魂の端を刺激したのか、
作品として仕上げるように勧められ、和美は その作品を書き終えるまでにその後 一年という月日を 費やすこととなるのだが・・・。

正直言って まいった。
やはり 大した話でなくとも 、
あの夜の月の話にしておけば良かったかもしれない。

パソコンのキーボードを見つめる和美の視線の先に、
覆いかぶさるように 月の光が満ち始めていた。

かげろう奇譚Ⅱ #13に続く

かげろう奇譚Ⅱ#12

最新作「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ

新メニュー
SIRIUSの小箱
(実はけっこう前からセラピスト( *´艸`))
始めました
水月あす薫mizukiasuka  (みずき あすか ) - リザスト (reservestock.jp)





いいなと思ったら応援しよう!

水月あす薫SIRIUS
もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)